2010年度春期講座

生涯学習センターについて

多摩美術大学生涯学習センターは、こどもから大人までのすべての人々に美術・芸術を開放し、その自由な広がりを伝えるため、2000年4月から活動を開始しました。

  • 理念
  • 活動
  • 特徴
  • 展望

理念

今日の社会のなかで大学には、単に高度かつ専門的な教育の場としての役割だけでなく、生涯学習における再教育をはじめ、多様な教育の在り方が期待されています。しかし、芸術に携わる本学に課せられた使命はそれだけにとどまりません。
芸術とは何なのでしょうか。作品をつくること自体が芸術なのではありません。創造する愉しみを享受する。知によって旅し、考える。実際に見て、触れ、感じることで小さな違いとその面白さに気づいていくそういった「人類の持った特別で良質な“あそび”」を愉しむ道筋のなかで、今までと異なった方法で「自分」や「世界」と再び出会い、新たな発見を重ねていく、その過程こそが重要なのではないでしょうか。
既存の価値観が破綻し混沌とした現代にあって、着実で生々しい視点を多くの人と共有したい、と考えています。それぞれの時代の規範を確認し、日常に息づく文化を創造することによって、来るべき時代の新たな指標と可能性を探っていこうと、本学では生涯学習活動に取り組んでいます。

活動

本学では、学内外の資源やネットワークを活かし、さまざまな内容や形態の試みによって、新鮮でたゆみない歩みをもった生涯学習プログラムを展開しています。
現在、実施されている講座は、上野毛・八王子両キャンパスを中心に、講義、演習および講演など年間約150講座にのぼります。
内容は多岐にわたり、学科や分野の枠組みを超えた横断的な講座、講義と演習両面からの探究、ひとつのキーワードのもと多角度から立体的に組み立てられた講座群、さらには鑑賞教育など、学内外の教員によって幅広い展開がされています。また、講座によって、1回完結型のものから通年の講座、さらには数年にわたり実施される連続講座など、形態も多様です。平日や週末、昼間から夜間まで、あらゆる受講生の要望に応じることができ、しかも気軽に受講できるようなシステム構築に努めています。

特徴

人生のいつの時期にも、どのような人々に対しても開かれている

こどもから年配者まで、年齢や職業、経験の有無にかかわらず、すべての人々にとっての探求の場です。特に、大人のみでなく、こどもたちにも数多くの講座が用意されていることが特徴のひとつです。

広義の芸術全体を視野に入れた内容

今までの美術の枠にとらわれることなく、人々の営みすべてにかかわって存在する美術・芸術の全体を視野に入れて、講座の編成を行っています。

総合的・複合的なアプローチで本質を探る

講義と演習を組み合わせた総合的手法による探究や、既存の分野の枠組みを超えたコラボレーションなどによって、より本質に迫るための方法を模索しています。

はじめて美術に接点をもつ人に、始まりの愉を伝える

継続的な学習の場であるとともに、むしろ、初めて美術に積極的に働きかけた人に対して、始まりの愉を伝える場であることに重きを置いています。自らが自らの手で進んで美術に接することができるように、創造し、鑑賞し、美術を自分のものとして愉しむことができるように、そんな生きた文化の形成に貢献していきたいと考えています。

何処にいる人にも、開かれている美術・芸術を提示する

何処にいても、生きている日常のそこに芸術の小さな真実があるのではないでしょうか。そのために地方自治体・学校などと連携して学外で講座を実施することもその大切な手がかりと考えています。

地元地域の文化の拠点としての役割

単に大学が地域市民に「知を“提供する”」のではなく、地域を、新たなフィールドや人材との出会いの場と考え、地域とともに生き、学んでいく大学として、地元との連携を図っています。

展望

多摩美術大学生涯学習センターは、こどもから大人までのすべての人々に美術・芸術を開放し、その自由な広がりを伝えるため、2000年4月から活動を開始しました。
大学の多層な教育チャンネルのひとつとして、美術・芸術の広がりに触れ、その可能性を探る場であることを目指しています。
一般社会人、在学生を問わず、好奇心旺盛なすべての人々と大学とをつなぐもうひとつの「回路」となるよう、柔軟な教育活動を展開していきたいと考えています。