バタイユ『ドキュマン』における〈アンフォルム〉の二重性, ―痕跡としてのシュルレアリティを巡って―
折居 耕拓
作者によるコメント
本論文は、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユが雑誌『ドキュマン』において展開した思想を対象とし、その言語的・視覚的な二重性を明らかにすることを目的とするものである。形式的真理に対する彼の不信感を表現する「アンフォルム」は、ロザリンド・クラウスを中心とするアメリカの美術批評家たちに支持されてきた。本論文はクラウスらの議論を踏まえて、敢えてこの語「アンフォルム」にフォルムを生成する契機を看取することで、彼の思考における戦略的な矛盾とシュルレアリスムとの共犯関係を指摘している。
担当教員によるコメント
本学科の学生には珍しく、20世紀フランスの特異な思想家ジョルジュ・バタイユ(1897-1962)研究を志し、とりわけバタイユが編集していた『ドキュマン』誌(1929-30)を精読することで自らのテーマを得ようと努力しました。そのさい―このプロセス自体はきわめて流行的で、諸手をあげて賛成できかねるところはあったのですが―ロザリンド・クラウスを中心とする『オクトーバー』一派の「informe」(不定形の?―文脈で日本語訳が変わらざるをえない、典型的なフランス語)を巡る議論を自らの導きとして、彼なりの論考をものしたと言えます。特筆すべきは、江澤健一郎氏の邦訳(河出文庫)を参照しつつも、フランス的な明晰さの対極にあるようなバタイユの、あの難渋なフランス語を正確に読み解こうとしたことです。
教授・本江 邦夫
- 作品名バタイユ『ドキュマン』における〈アンフォルム〉の二重性, ―痕跡としてのシュルレアリティを巡って―
- 作家名折居 耕拓
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