ホワイト・キューブの現代的な受容と意義について

三宅 敦大

作者によるコメント

芸術作品の展示空間として、そして美術館のシステムのひとつとして機能するホワイトキューブ。この空間の誕生と、現代に至るまでの変遷を芸術における身体性と、キュレーターといった側面から辿る。そして、現代におけるホワイト・キューブとはいかなるものなのか、またどのような意義、目的を持ってそれらは受容されているのかを明らかにするとともに、これからの美術館とキュレーターの在り方について思考する。

担当教員によるコメント

「ホワイト・キューブ」については、ニューヨーク近代美術館とモダニズム芸術との関係から論じられることが多い。しかし、三宅さんは、作品と作品のおかれる空間や身体性について、15世紀の「驚異の部屋(ヴァンダーカンマー)」まで遡り、そこから現代におけるホワイト・キューブの意義にまで歴史的に辿ろうとしている。重要な参照点として分析されるのは、近年、この文脈で取り上げられることの多いテオドール・アドルノの論考『ヴァレリー プルースト 美術館』であるが、そこからさらに「身体性」、「混沌」という論点を抽出し、現代の外とつながるホワイト・キューブ、またそれを前提とするキューレションの意義にまで結びつけようとする点が意欲的である。

教授・家村 珠代