宇宙のスピーカー

佐藤 駿次

作者によるコメント

スピーカーユニットの向きを本来のスピーカーと逆にした時、中と外の世界が反転して、エンクロージャーは地球全体、宇宙全体を包み込んでいる(梱包している)と考えられる。このスピーカーで再生されるすべての音や音楽は、宇宙を内包したエンクロージャーを通じて鑑賞者の耳に直接届けられる。鑑賞者は耳をヘッドフォンで覆われることで、宇宙の環境音を意識的に聞くことができる。参考作品として赤瀬川原平の「宇宙の缶詰」(1963)があげられる。

担当教員によるコメント

宇宙をエンクロージャーとするスピーカから聞こえる音とは、一体どんな音だろう。エンクロージャーの中には宇宙の(ほぼ)全ての物質や情報が含まれている。スピーカに入力された信号は、この宇宙全体が生み出すノイズと干渉しながら、リスニング空間としてのスピーカの外部=内部に放出される。スピーカに差し込まれたマイクロフォンは、この宇宙の音を聞くためのプローブだ。自分の耳がこのマイクロフォンと一体化したかのような感覚で聞いて欲しい。展示では、サイン波やホワイトノイズから、芸術衛星INVADERの受信音まで、さまざまな音源を選択して、このスピーカからの音を試聴することができる。

教授・久保田 晃弘

  • 作品名
    宇宙のスピーカー
  • 作家名
    佐藤 駿次
  • 作品情報
    サウンドインスタレーション
    技法・素材:スピーカーユニット、アクリル、マイク、ヘッドフォン、アンプ、iPad
    サイズ:H2000×W2000×D1500mm
  • 学科・専攻・コース