The side steped screen, The stretched screen

安原 千夏

担当教員によるコメント

通常の映像作品で使用されるモニターやスクリーンは、そこに映し出された映像が何か意味を持ちはじめた時点で、いったん括弧に入れられ、存在しないものといった限定された役割を担わされる。しかし安原の作品で使われているスクリーンは、反復運動や伸縮運動することで括弧に入れられることを拒みつづけ、その存在の在り方を限定されない不確定なものとしていくのだ。そしてその不確定な媒体の上に重ねて、不確定さを助長するように反複的な性質を持った映像が映される。それ故に、見る者の視線は、映像の内容に向かうだけではなく、プロジェクターの放つ光りそのものに喜びを得ることさえ可能にする。それは、公園のベンチに座りながら草木を眺めているうちに、予期していない現象を次々に発見してしまうような、それは草木の不確定さよって起きること、そういった体験から生まれる感覚と安原の作品を見た時の感覚は似ている気がするのである。

准教授・栗原 一成

  • 作品名
    The side steped screen, The stretched screen
  • 作家名
    安原 千夏
  • 作品情報
    『The side steped screen』
    素材・技法:ミクストメディア、video1-54ループ
    サイズ:サイズ可変

    『The stretched screen』
    素材・技法:ミクストメディア、video0:06ループ
    サイズ:サイズ可変
  • 学科・専攻・コース