ほらはらくら, 幽顕

遠山 侑里

担当教員によるコメント

遠山の絵にはトンネルがある。実際に描き込まれることもあるが、そうでないこともある。このトンネルは見知らぬ異界につながっていて、見る人は遠山の視線をなぞるようにその世界を旅する。そこはどこか懐かしい世界ではあるが、決して甘い夢の世界ではない。聖書や記紀に代表される壮大な神話のように、そこで表された世界は不可思議さと同時にリアルな感触を含んでいる。そして神話の多くが人々に生きる指標を与えてきたように、遠山にとってこの絵画世界は、ともすれば途方に暮れる自分の生活に規範を与え、生きるのに必要な力を生むひとつの要素になっているのだろう。遠山にとって描くことは、他人や社会との境界を繋ぐためのトンネルに違いない。

教授・菊地 武彦

  • 作品名
    ほらはらくら, 幽顕
  • 作家名
    遠山 侑里
  • 作品情報
    『ほらはらくら』
    素材・技法:水彩、顔料、砂、綿布
    サイズ:H90×W200cm

    『幽顕』
    素材・技法:水彩、顔料、砂、綿布
    サイズ:H140×W70cm
  • 学科・専攻・コース