日本の結び

高橋 星一

作者によるコメント

接着・成形などの様々な接合技術が発達するにつれ、「結び」は私たちの日常生活から姿を消しつつあります。本研究の目的は、影を潜めつつある「結び」の技術に目を向け、現代の生活の中に「結び」の入り得るスキマを探りながら、「結び」の持つ可能性を実感してもらうことにあります。

担当教員によるコメント

結びの接合技術は、異素材同士であっても必要十分な強度で固定できる。結びを緩めれば、材ごとに解体することも容易である。高橋星一くんの提案しているスツールでは、人が座ることによって生じる荷重負荷を、結びを強固にするためのテンションに変えるよう考えられている。『結びを使う、接着は用いない』、こうした制作上の条件制約を自らに課しながら、技法特性の活かし方をロジカルに探求、構築していける才は、この先いろいろな場面で応用していける特別な才だろう。モノに必要な強度とは何だろうか?接着によりつくる固定強度、それを追い求めるために失うものはないのだろうか?そんな問いをくれる提案である。

准教授・濱田 芳治