サウンドスケープインテリア

TAKU Rai

作者によるコメント

音楽媒体は止まることなく進化し続けてきた。その基本としては音を再生するもの。だが進化につれその扱いは大きく変わっている。とくに徐々に消えていくのが、触る行為、近年では音を物と呼ぶより、データとして扱うのが当たり前になっている。音に新たな形を与える。もう一度音を風景の観念でとらえ、その上で音を巡っての関係性に注目した。音を立体に起こすことによって、新たな認識と体験を目指した。

担当教員によるコメント

音に形を与える。こうした提案が求められるのは、時代性もあるだろう。楽器や鐘が身近な音をつくるツールとして存在していた時代には、音と形の関係は物質で結ばれ、わかり易く体感できるものだった。しかし電子楽器の登場、記録ツールもデジタル化されてしまう今日では、音は単なるデジタル信号の1つとなってしまった。音の存在が希薄になっている。タクライくんはこの観点に着目して、音に新たな形、存在感をつくることを画策している。タクくんは制作に際し、スイッチとなるパーツ形状を考えるだけでなく、パーツがベースの台に刺されることで音を醸し出すプログラミングや機構の開発から自ら手掛けることで、自分の感じる音をどうにか捉えようとしており、その姿勢には大いに可能性を感じる。

准教授・濱田 芳治