成り立ちの熱量

石井 あや子

担当教員によるコメント

水の本質を滝の流れに見たり、木立の揺れに大気の移動を知る。我々は直截に水や大気の形を明示することは叶わないが、日々様々な手立てで無主物の姿を見ている。同様に焼き物に変容する土も固有の姿などは持っていない。だが、石井あや子の仕事は本来見えない土の姿を説得力を持って我々の前に表し出している。これは、彼女の土との絶え間ない応答の中での発見によって始められた。彼女が感じた「人の手で素材が加工される過程に現れるかたちと熱量」を定着させようとする試みである。これを不可逆な存在、陶へと定着する為に、様々な工夫が蓄積されている。本来人間が作り出せない自然物と人工物と間(あわい)のようなものを、我々がまさしく土の形として感じる造形に昇華されている。

教授・井上 雅之

  • 作品名
    成り立ちの熱量
  • 作家名
    石井 あや子
  • 作品情報
    技法・素材:陶
    サイズ:H210×W330×D250mm〜H220×W730×D310mm
  • 学科・専攻・コース