adios

山口 新平

作者によるコメント

モノを考える、作る上での喜びや苦しみを描きました。

担当教員によるコメント

山口くんは日常で体験した心の痛みや生きづらさの実感を起点に、その困難な対象を魅力的な画風で様々なキャラクターに置き換え、独自の物語をアニメーション作品として創作してきた。この卒業制作「Adios」はその集大成と言えるだろう。コーヒーを飲みながら自分の部屋で妄想を書き留める男の現実と、その男の妄想とを往復するストーリー展開になっている。後半で男の妄想が全て黒い穴に吸い込まれ、男は一人とり残され、コーヒーカップくんと未来を目指し、混乱したページをめくり、新しい真っ白なページで終わる。後半にかけて男が妄想にも登場し、妄想と現実の境界が融解しかけるが、辛くも混乱した過去から決別して未来を目指す。誰しも経験する新たな出発をほろ苦く味わえる作品だ。

教授・寺井 弘典