無題

福島 卓也

担当教員によるコメント

福島君は好奇心が強い。「石を焼いて造形したい」と相談された事がある。そうした経験の無い私は、石を電気炉で焼成し作品制作を続けている、瀬戸内の因島に住む知人を紹介した。福島君くんは島に渡り色々話を聞いて来たらしいが、彼のプランの実現は難しかったようだ。その後は透明な接着剤をテグスに垂らし作品化すべく、格闘を繰り返していた。結果を問わずに喰い付いていく姿勢が今回の作品に繋がっている。鏡面に磨いたステンレスと錆びた鉄とが一体と成って在る。見慣れた形態でありながら新鮮な空気を放っている。石の様に凝り固まった頭からは、なかなか生まれない作品である。

教授・村井 進吾