三つのポリシー 版画専攻

卒業認定・学位授与の方針
(ディプロマ・ポリシー)

絵画学科版画専攻では、伝統と先端、アートとデザインの幅広い領域において、自由な発想と新しい価値を創出し、時代を切り拓く力を持つ人材の育成を目指しています。

今日の情報化社会を支えるのは、情報を複製し、配信する技術であり、かつてそれを切り拓いてきたのは版画の技術でした。この技術の出現は、人々の生活を根本的に変えてしまったと言えるでしょう。こうした技術の革新性こそが版画の本質であり、東西に長い歴史を持ち、複製技術時代の芸術表現として版画は展開してきたのです。一方で、版画は、歴史的にデザインとの関わりが深く、美術とデザインの架け橋となってきました。また、今日のデジタル時代では、写真やCGも版画の一つとして捉えられ、新しい版画が生み出されています。このように、版画は因習性を超えて、多種多様なジャンルを横断するメディアとして位置し続けています。

版画専攻は、こうした版画の革新性と横断性を踏まえながら、美術学部の教育研究上の目的に定める人材を養成するために、幅広い視野において物事の本質を捉える観察力と、旧来の考えにとらわれず、氾濫する情報に流されない自律的な思考力を培いながら、自由な視点で構想し、構想実現のための的確な計画と確実な実行力を身につけ、伝統と先端、アートとデザインの幅広い領域において、現代における創造的可能性を広げていく力を身につけられた学生に、学士(芸術)の学位を授与します。

教育課程編成・実施の方針
(カリキュラム・ポリシー)

絵画学科版画専攻は、ディプロマ・ポリシーで示した目標を学生が達成できるように以下の方針にもとづき、教育課程(カリキュラム)を体系的に編成・実施します。

導入教育では、多様な造形表現の学びを通じて、幅広い視野で美術を捉え、各自の潜在的な可能性を見出しながら、4年間の修学に必要な基礎力を身につけます。

1・2年次の基礎教育では、1年次に四つの版種を体験し、2年次に学生各自の問題意識にしたがって、それらの版種を専門的または横断的に学ぶことを通じて版画の可能性を探り、それぞれの表現テーマを発見します。また、写真やデジタルの基礎において、美術における写真表現や新しい版画の可能性も探求していきます。

3・4年次の応用教育では、四版種に写真を加えた工房のなかから一つを選択し、専門技術の研鑽を重ねながら各自の研究テーマを深め、4年次にその集大成である卒業制作に取り組みます。一方で、版画と歴史的関係の深いアートブックや印刷デザインの研究を通じて、各自の表現を社会にどのようにつなげるかを考え、卒業後の多様な進路に対応していきます。

版画専攻では、伝統的な版画、先端的な版画、そしてデザインへの展開のこれら三つの学びを総合的に実現するために体系的な授業科目を配置します。

学修の成果を評価するにあたっては、あらかじめ明示した成績評価基準にもとづき、厳格な成績評価を行います。さらには、その結果の活用を通じて、教育方法の改善につなげていきます。

入学者受入れの方針
(アドミッション・ポリシー)

絵画学科版画専攻では、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーにもとづく教育内容を踏まえ、偏狭な考えにとらわれず、失敗を恐れることなく、果敢に新しいことに挑戦し、アートとデザインの幅広い領域で、自身の表現の可能性を積極的に探求できる人を求めます。

版画専攻の専門試験では、対象を観察し、その特性を捉えて豊かに描写できる力、対象から自由に発想し、それを展開させ、イメージを表現する力、そして写真素材を編集し、そこに新しい価値、意味を生み出す力など、基本的な造形表現力を中心にしながら、作品の完成度を高めるための集中力、個別に潜在する才能などを含めて、デッサン、コラージュ、色彩表現など、多様な試験の方法を用いて総合的に評価します。

皆さんには、実は色々な可能性が秘められていて、その可能性にいかに気づくことができるかが、入学後の学びを拡げていくうえでとても大事です。そのためには、自分に枠を決めることなく、さまざまなことを果敢に試していくことを期待しています。

美術学部 各学科の三つのポリシー