企業の人事担当者・卒業生に聞く/エンターテインメント

多摩美で身に付けたことが、アーティストを発信するすべての場面で役に立っている

エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社

卒業生の加藤茉由子さん。東京・港区のエイベックス本社にて

「エンタテインメントの可能性に挑みつづける。人が持つ無限のクリエイティビティを信じ、多様な才能とともに世界に感動を届ける。そして、豊かな未来を創造する」という企業理念を掲げ、音楽事業、アニメ・映像事業、デジタル事業、海外事業など、多岐にわたる事業を展開。 また、才能と出会い、その多様なクリエイティビティを信じ、ともに育て、そこから生まれる新しい感動や共感を世界に届けることを目指す。

https://avex.com/jp/ja/

2024年6月更新


自分が手がけたアーティストをヒットさせることを目標に、
クリエイティブのすべてに携わる

加藤茉由子さん
加藤茉由子さん

2014年|グラフィックデザイン卒業

エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社
第2レーベルグループ 第5ユニット
チーム4 チームリーダー

私は今、音楽制作全般に関わる業務を担当しています。業界的にはA&R(Artists and Repertoire)と呼ばれる職種です。担当するアーティストとコミュニケーションを取りながら、どういう作品を作り、売り出していくかというブランディングやプランニングをはじめ、音楽制作やMVの撮影、CDのパッケージのデザイン制作など、アーティストが発信するものすべてに携わっています。

私が在学していた頃の多摩美は、卒業後の進路に音楽業界を考える人は、ほとんどいませんでした。私もはじめはデザインなどのスキルがそのまま活かせる仕事を考えていましたが、就職活動を進めるうちに「自分は美術を趣味として楽しんだほうが、向いているのでは」と思うようになりました。そこで別の業界を考えたとき、思い浮かんだのが音楽業界でした。身近に音楽に関わる仕事をしている人が多かったこともあり、イメージしやすかったんだと思います。

美大と音楽業界は、一見関連性がなさそうに見えますが、実際に入ってみると、美術やデザインの知識が生かされる場面がたくさんありました。たとえば、アーティストの作品を世に送り出す過程をデザインするという点では、広告を専攻する中で学んできたセオリーがそのまま活かされていますし、ジャケットデザインやMVの映像を作る現場では、彩度や色調の微妙な違いをクリエイター視点で言語化し、伝えることもできます。多摩美でデザインを勉強してきたことが生きていると思う瞬間です。在学中には広告写真を専攻していたので、アーティストのSNS用の写真を私が撮影することもあります。学生時代に身につけたIllustratorやPhotoshopのスキルも、今でもすごく役に立っています。

この仕事のやりがいは、やはりお客様の声をダイレクトに聞けることです。ライブやCDの即売会で、自分たちが作ったものを手にしたり体験したお客様が、泣いたり笑ったりする姿は、何度見ても心にグッとくるものがあります。私の目標は入社当時からずっと変わらず、自分が手掛けたアーティストをヒットさせること。「加藤がいたから、プロジェクトが成功した」と言われるような存在になりたいと思っています。今、担当しているアーティスト「NAQT VANE(ナクトベイン)」は、それこそデビュー前から一緒に歩んできたアーティストで、彼らを売り出すことが、今の自分にとって一番のミッションだと感じています。

在学中は進路で悩む瞬間がたくさんあると思います。私自身もそうでした。そんなときに指針となったのが、母から教わった「悩んだときは、選択肢が多い方を選ぶ」という言葉。たとえば英語を習得したら、できることは一気に広がっていきます。選択肢が一つしかないと逃げ場がなく、苦しくなりますが、選べるものがたくさんあると、そのぶん視野も広がるはず。私も仕事で行き詰まったときは、選択肢の多い方を選び、自分の可能性を広げることを大切にしています。