テレビ番組だけでなく映画のVFXからXRまで幅広く力を発揮する
株式会社テレビ朝日クリエイト
テレビ番組を中心とした美術プロデュースやCGアニメーション、リアルタイムCG、VFX、バーチャルセットなどCGの企画・デザイン・制作など、テレビ朝日の番組だけでなく映像コンテンツ全般を手掛ける制作会社。また、テロップを送出するシステムやAIによるリアルタイム字幕など自社開発ツールも販売する。
http://www.tv-asahi-create.co.jp/
2024年6月更新
多摩美生は技術やセンスに個性と発想力をプラスして、
確実にゴールまでたどりつく
戸枝誠憲さん
美術学部二部デザイン科ビジュアルコミュニケーション卒
株式会社テレビ朝日クリエイト
CG制作局 CG制作2部
部長
CG制作1部では主にテレビ朝日の局内のニュースやウェザーのCG、バーチャルセット、スポーツ中継のテロップ送出などを手がけています。我々が所属するCG制作2部ではテレビ番組のデザイン全般を担うほか、テレビ朝日以外のCGデザイン、ドラマ・映画のVFX、イベントや展示の映像、ARやメタバースなど、幅広いジャンルのコンテンツを制作しています。美術・芸術系の大学出身者の社員も多く、多摩美生は美術デザイナーやCGデザイナーとして活躍しており、担当する番組や案件のキーマンとして、中心となって進めていくケースが増えてきています。
CG制作ではおそらく学生時代には使ったことがないソフトや機材を使うことが多いのですが、皆、2〜3年ほどでいつの間にか使いこなすようになっていて、技術とセンスを兼ね備えたデザイナーになっています。多摩美生はそこにさらに自分の個性や発想力をプラスして、確実にゴールまでたどりつける、軸がしっかりしたクリエイターが多い印象です。白紙のプランを渡されてもまったく困らないし、むしろ生き生きとゼロからイチを作り出していますね。プレゼンテーション能力も高く、社内コンペなどでも自分の考えやアイデアをしっかり伝えることができるので、周囲の人も納得して賛同する、そんなシーンをよく見かけます。何年か後には自分がやりたい仕事を自ら作り出していく立場になっていくはず。それが今から楽しみです。
この20年ぐらいでCGの技術はものすごいスピードで発展していて、品質の高いものが効率よくできるようになっています。そこにさらにAIやテンプレートを使えば、一見それっぽい、おしゃれで見栄えするものを作れます。そういった環境だからこそ、具現化するスピード感はもとより、「多様な選択肢から最適なものを選び取る力」を持ったクリエイターが、これからはより重要になると考えています。クリエイターの独創的な感性や先端技術を活用した新しいアプローチが、多くの選択肢を発展させる起爆剤のようになっていくのではないでしょうか。
劣等感とプレッシャーの4年間で、
自分の「好き」を突き詰められた
金眞直希さん
2018年|グラフィックデザイン卒
株式会社テレビ朝日クリエイト
CG制作局 CG制作2部
VFXやイラスト、アニメーション、プロモーション動画、映画のCG制作などに携わっています。美術館や博物館の展示映像制作に関わることもあり、幅広いジャンルを経験しながらアウトプットしていくことに、やりがいや楽しさを感じています。2022年に公開された小泉堯史監督の映画「峠 最後のサムライ」では、タイトルロゴのデザインを担当しました。まさに多摩美のグラフィックデザイン学科の入試に出るような技術を使って、スケッチからデザインを起こして、映画のイメージに合わせたオリジナルフォントを考えました。
また、2022年には、新潟県佐渡市のPR動画を制作しました。金山を掘っていた当時の様子を浮世絵のようにCGで再現したショートムービーで、実際の役者さんや建物のイラストなどを3D空間になじむように工夫しています。当時の人がどんな服装でどんなふうに働いていたか、専門家の方にも時代考証をしてもらい、現代の人が当時にタイムトリップをして実際に旅しているかのような没入感を目指しました。
多摩美のグラフィックデザイン学科で、手法にとらわれずさまざまな表現に挑戦させてもらったことは、今の仕事でも、新しいことに飛び込んでいく力や、表現の引き出しの多さにつながっていると感じています。特に3・4年次に専攻したアニメーションの授業で野村辰寿教授に教わったキャラクターの動きの付け方などの映像表現は、まさに今の仕事と直結しています。当時はよくわかっていなかったお話も、今になって「このことだったんだ!」と理解できるようになりました。野村先生にいつお会いしても恥ずかしくないように、映像制作の仕事をこの先もずっと続けられたらと思っています。
学生時代は本当に劣等感のかたまりで、周りの人より一歩抜きん出るにはどういうものを作ればいいんだろうと試行錯誤する日々でした。自分にできないことをできる人がこれだけたくさんいて、こんなに過ごすのに苦しい場所って、きっと他にない。だからこそ自分の好きなものを見つけて、突き詰めていくことができたんだと思っています。先生方や仲間が「絶対に見る」という環境下で作品を作っていくプレッシャーも大きく、皆と切磋琢磨してそれを乗り越えることに大きな意味がありました。当時の仲間もそれぞれ社会で活躍していて、それを見ると嬉しくもあり、また劣等感を感じたり(笑)、大きな励みになっています。
漫才が大好きな気持ちを立体作品でアピールし、
「M-1グランプリ」のCG担当に
平田 英さん
2020年|情報デザイン卒
株式会社テレビ朝日クリエイト
CG制作局 CG制作2部
私はとにかくテレビが好きで、なかでもテレビ朝日系列で年末に放送される「M-1グランプリ」が大好きで、大学の課題でも漫才のセリフをビジュアル化した立体作品を制作し、就職活動ではその作品を持ってテレビや漫才に対する情熱を訴えました。その思いがかない、入社以来、毎年「M-1」のCGデザイン制作に携わらせてもらっています。昨年は「爆笑が爆発する」というテーマで、「M-1」のロゴが爆発して燃え上がるような激しいイメージをCGで表現しました。スタジオセットも当社が担当しているので、私もリハーサルに足を運び、当日の本番にも立ち会っています。好きなこと=仕事というのはものすごくやりがいがありますし、楽しいし、嬉しいです。
多摩美在学時は平面の作品を作っていて、映像は1本も作ったことがありませんでした。さらに入社当時はコロナ禍の真っ最中で、在宅で研修を受ける日々に不安しかなかったのですが、未来の自分への期待と「テレビが好き!」という強い気持ちがモチベーションとなり、学生時代にはさわったことのなかった3ds MaxなどのCGソフトも覚え、更なる上達を目指して習熟中です。
ゼミで指導してくださった宮崎光弘教授は、私の制作に対する情熱をそのまま受け入れてくれて、さらに良いかたちでアウトプットできるようにサポートしてくださいました。学生時代に作りたいものを全部作れたので、心置きなく今の仕事に専念できているのだと思います。グループワークで「いろんな人がいるんだな」と知れたことも大きかったです。社会人になるともっといろんな考えや価値観を持った人たちがたくさんいますが、学生時代にそうした状況に慣れていたので「じゃあこうやってみようか」と対処することができています。
私自身、座って考えるタイプではなく、行動してから理解するタイプだったこともあり、とにかく「行動を起こすこと」が大事だと思っています。とりあえずやってみたら、自分に合うか合わないかわかります。合うとわかるのも、合わないとわかるのも、どちらも大事な経験で、数をこなして場慣れすることで、自分の考えもまとまってきます。多摩美はいろんなことをやれる環境なので、いろいろやって、やり切ることが大事だと思います。