デザイナーとして個性を持ちながら クライアントの課題に柔軟に対応する
資生堂クリエイティブ株式会社
資生堂のクリエイティブ部門から2022年1月に独立。「美の力、クリエイティビティの力を信じ、世界に感動をもたらす」という企業理念のもと、プロダクトから広告宣伝、スペース、コミュニケーションデザインまで一気通貫で「美の体験」を創出している。
https://www.shiseidocreative.com/
2023年7月掲載
確かな専門性と複数の領域を越境する力に期待しています
中山怜さん
資生堂クリエイティブ株式会社
ビジネスマネジメント部
広報・採用担当
資生堂クリエイティブのデザイナーは、各々が培ってきた個性や強みを芯に持ちながら、会社の色に染まりきらない形で新しいデザインを提案できる人が多いと実感しています。そうした意味では多摩美の卒業生も、確かな専門性に加えて複数の領域を越境しながら、多様な分野で活躍しています。これは複数領域にまたがる学習の成果だと思います。
クライアントが抱える課題に対して、解決のために戦略を練り、最適なアウトプットを導き出す。そうした過程において、ただ求められたことに対処するだけでなく、自発的に行動できる人材はとても貴重です。多摩美生からはインターンの問い合わせをいただくこともあり、その積極性には私たちも期待しています。
制約のない課題に自らテーマを設定した経験が活かされている
井上千聖さん
2016年|プロダクトデザイン卒
資生堂クリエイティブ株式会社
アートディレクター/デザイナー
資生堂パーラーのお菓子や「INTEGRATE」「Snow Beauty」「ANESSA」といった化粧品のプロダクトデザインを担当しています。容器や外箱の造形に加えて、私はグラフィックやイラストをつくるのが好きなので、パッケージのイラストまで描いたり、キャラクターデザインなどを担当したりすることもあります。自身の得意分野に応じて幅広い分野にアサインされるので、強みが活かされていると感じます。
在学中から、私はグラフィックやイラストを使って課題に挑戦することが多くありました。プロダクトとグラフィックは領域としては少し離れていますが、課題に対してあまり制約なく自分の興味に応じてチャレンジできたのがよかったと思います。ただ、自由だからこそリサーチやテーマ設定には苦心する場面も多かったです。毎回、課題発表でプレゼンをしますが、そこでもプレゼンシートのデザイン性や相手への伝え方が鍛えられました。
特に、安次富隆先生のプロダクトデザインに対する思想から影響を受けた部分が多かったです。安次富先生は、機能美を求めたデザインよりも、自然にあるもののよさを活かすことや、複数の技術や知恵を合わせてプロダクトに落とし込むことを重視していて、そこには人の手が加わった温かさを感じます。私もグラフィックやイラストをうまく組み合わせることで、手触りを感じるようなデザインを実現したいと思っています。こうした考え方を初め、作品を発表したあとの講評会で教員や学生から多様な意見をもらった経験が、クライアントの要望に柔軟に応える現在の仕事に活かされていると思います。企業で働いてみると、むしろ多摩美の課題のほうがハードだったと思うこともあります。多摩美で課題に一生懸命取り組んでいれば、社会に出ても十分に活躍することができると感じました。