企業の人事担当者・卒業生に聞く/IT/エンターテインメント

ボーダレス化が進む業界。領域を横断してデザインを学べる多摩美は楽しみ

チームラボ

チームラボは、アート活動を行うArt collective teamLabの基盤であり、法人格である。最新のテクノロジーを活用したソリューション、大規模なシステム開発や、プロダクト、デジタルコンテンツの制作、都市計画や建築空間設計などを行う。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団で、アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。
https://www.team-lab.com/

2024年3月更新


「チームラボボーダレス」ほか、全日空のアプリ開発に携わるなど一線で活躍する多摩美卒デザイナー

堺 大輔さん
堺 大輔さん

チームラボ
取締役

チームラボは、「チームラボボーダレス(麻布台)」「チームラボプラネッツTOKYO(豊洲)」に代表するアートと、Webサービスやアプリ開発などを手がけるソリューションとの二つを大きな柱としています。アートの分野は完全にグローバルで、手掛ける案件の半分以上は世界を舞台に展開しています。ソリューション部門では、最新のテクノロジーで企業の課題解決に取り組み、最近ではりそな銀行や三井不動産、BUMP OF CHICKEN のアプリ開発などを手掛けてきました。多摩美の卒業生は、その両部門で活躍しています。

専門性をより深く広く備えていれば、関われる仕事の幅が広がる

新卒採用においては「実績採用」を取り入れていますが、美大生であれば、ほぼポートフォリオで判断しています。積み重ねてきたものは必ずアウトプットに表れるので、そのクオリティがすべてなのです。さらに、限られた時間の中で、より多くのアウトプットを出せる人は強いですね。また、単独ではなくチームでものづくりに挑むチームラボにおいては、特にグループワークの経験も重視しています。
チームラボの特徴のひとつとして、チームラボには役職や具体的な目標設定といったものがありません。当社はデザイナー、エンジニア、建築士など95、6%がものづくりの人間で構成されていますが、どの仕事においても、複数の異なる専門性が集結しチームで取り組みます。専門性をより深く広く備えていれば関われる仕事の幅が広がりますので、いわばそれがチームラボでのキャリアパス。私たちはクオリティが高いものを作る以外に興味がなく、そのために合理的でありたいというのが基本姿勢なのです。

体験をデザインするニーズは広がり続ける

UI/UXは、論理的な思考のできる人が得意な分野です。今、UI/UXのような体験のデザインはありとあらゆる分野で必要となってきています。ビジュアルデザインのみならず、体験自体を設計する必要があるからです。そしてまた、今コンサルティング業界でデザイナーの観察眼や思考が求められている例のように、今後はますますジャンルのボーダレス化が進むことでしょう。
多摩美の、理数系を重視した入試への試み(センター試験のみの入試で、理数系科目を課している一部学科のこと)や、デジタルやアナログといった枠を超えてデザインを横断的に学べるカリキュラムには、大いに期待しています。知的好奇心で分野の垣根を超え、チームで新たなものを作れることを信じている。そんな人であれば、世界に活躍の場が開けていると思います。

UI=ユーザーインターフェイス。ユーザーが、製品やサービスに触れる際に操作する部分のこと。
UX=ユーザーエクスペリエンス。製品やサービスの利用を通じてユーザーが得る体験のこと。


国内外で開催するアート展のビジュアル制作からグッズ制作まで幅広く手掛ける

レイナ・ロサリア・テイさん
レイナ・ロサリア・テイさん

2016年|グラフィックデザイン卒

チームラボ
ビジュアルデザイナー

チームラボに入ってすぐ、お台場のアート空間「DMM.プラネッツ Art by teamLab」プロジェクトのメンバーになりました。私が携わる仕事は幅広く、作品展示のアイデアイメージをビジュアライズ(可視化)するほか、ロゴやシンボルマークなどのデザインやグッズ制作に至るまで、まさになんでもやります。空間デザインには多面的に考える力も必要ですし、学生時代にさまざまな知識と経験を得ていたことが生かされています。

日本中の美大を調べて多摩美を選んだ

私はインドネシアの出身で、日本の繊細なデザインに興味があり、独学で日本語を学びました。日本の美大を調べるなかで、多摩美ならデザインへの幅広い知識が得られ、新しい技術も学べそうだと思い、受験を決意しました。「絶対に入るぞ」という気持ちが強かったので、語学も受験勉強も楽しかったですね。
グラフィックデザイン学科では、1、2年の教育課程でデザインの基礎を幅広く学び、そこからやりたいことを選べるというのが魅力的でした。当時、先生に「自分だけの武器を持て」と言われたことが忘れられません。私はタイポグラフィ(印刷物などのメディアに最適化した文字のデザイン)を選択し、卒業制作作品を新卒採用の選考にも提出しました。

常に新たな技術を追求して、自分をアップデートしたい

私は学生時代から「これからのデザインは紙媒体だけでは未来がない。世界を見据え、新しいことにチャレンジしなければ」と感じていました。常に新たな技術を追求して、自分をアップデートしたい。それがチームラボを選んだ動機です。その思いは、社会人になった今も変わりません。学生の方にもぜひ、これからの社会を見越して夢を描き、それを目指してほしいです。