忍耐力や洞察力、素直さなど 真の“クリエイター”に必要な要素を感じる
株式会社コロプラ
2003年、モバイルゲーム『コロニーな生活』からスタートし、オンラインゲームを中心に開発・運営を行う。
https://colopl.co.jp/
2019年1月掲載
ツールは使えても後から画力を上げることは難しい。
基礎力こそが多摩美の強み
西田 明佳さん
次世代部
当社では数年前から新卒採用を開始し、全体的に美大卒の割合が増えています。多摩美の卒業生は多く、『白猫プロジェクト』の立ち上げでも多摩美卒のデザイナーが重要な役割を担いました。
デザイン系だけでなく、油画などファインアート出身者も多いです。当社には3Dの経験がなくても入社後にひと通りの技術を学ぶ教育プログラムがあり、ここで力を伸ばす人も大勢います。3Dは描画力が高く空間把握能力に優れた人に適しているため、多摩美で培った基礎力がマッチするのでしょう。逆に最初から3Dツールは使えても後から画力を上げることは難しいので、その基礎力こそが多摩美の強みだと思います。
多摩美には、多方向から見る視点や思考の力がベースとしてある
良いゲーム作品とは、ただ優れたグラフィックであればよいのではなく、ユーザーが求め楽しんでこそ完成です。UIやキャラクターが加わることでいかに面白くなるかを考えながら創造する。そうした多方向から見る視点や思考の力が、多摩美の卒業生にはベースとしてあると思います。たとえ答えが出なくてもひとつの作品に向き合う忍耐力や、現状に疑問を投げかける洞察力、突っ込まれてもへこたれずに前向きに受け止める強さと素直さ。そこには、ただ仕事に直結する人間ではなく“クリエイター”を育てようとする多摩美の方針を感じますし、まさにそういったデザイナーを求めています。
何事も“我がこと感“の精神で業界をけん引してほしい
当社に限ったことではないと思いますが、ゲーム業界においてこれから必要される人材とは、自分が作りたいものではなく「ユーザーのために」というところに目線を置ける人。言われた通りにだけ行動するのではなく、常に「はたしてこれで良いのか?いいものとは何か?」という疑問を抱き、更に上を目指す人が時代を引っ張っていくことでしょう。コロプラでは、全職種とも“我がこと感“という精神を大事にしています。何事も当事者意識を持ち、自らが会社や業界を引っ張って盛り上げていくぞ、という意識を持った人をぜひ望んでいます。
必修だったから学んだアニメーションが
UIデザインへとつながる転機に
M.Hさん
2010年|グラフィックデザイン卒
株式会社コロプラ
クリエイティブ本部
UIデザイナー
卒業後は他のゲーム会社に勤めていたのですが、その頃当社の『白猫プロジェクト』が登場し、スムーズな操作性に感動したのがきっかけで、転職しました。ここで、その操作部分であるUIデザインをやりたいと思ったのです。UIデザインは、リリース後も操作の改良や新たな機能の追加、イベントなど、長期にわたって作品に関わりながらより楽しめる環境を生み出す仕事なので、常に「これでいいのか」という疑問持ちながら勉強しています。
ゲームの仕事にはいろんな領域があることを知ってほしい
多摩美時代、1、2年生で徹底して基礎を学んだ経験が大きいですが、私の場合、アニメーションの授業が必修だったことがひとつの転機となりました。静止状態で美しい画面を作るのとは違い、ユーザーを退屈させず、いかにワクワクさせるような見た目、仕掛けを施すかがUIデザイン。当初自分がアニメーションをやるという発想がなかったので、必修という形で触れることができ、動かす楽しさを知ったことは、すごく良いきっかけとなりました。
正直私は、学生時代にUIデザインのようなジャンルがある事すら知りませんでした。ゲーム業界を志す人にはぜひ、キャラクターや背景を描くだけでなく、ゲームの仕事にはいろんな領域があることを知ってほしいですね。UIは、機能性や感動を創造するデザイン。論理的に思考し全体的な設計ができる人に向いています。更に基礎的画力があれば強力ですが、ラフまで仕上げて、そこから先は絵が得意な人に任せる手もあります。得手不得手やジャンルに取らわれず、やりたいことの可能性が広がる仕事だと思います。
将来的進路を考慮した上で多摩美を選択。
思考力や基礎力など、ゲーム制作のベースをしっかりと築いた4年間
Y.Nさん
2016年|グラフィックデザイン卒
株式会社コロプラ
クリエイティブ本部
3Dモーションデザイナー
『白猫プロジェクト』チームで動きを作るモーションデザインを担当するほか、効果を演出するエフェクトや武器のモデルなどを作っています。キャラに沿った動きを作り、それに対しユーザーがSNSなどで「カワイイ!」などと反応してくれると、嬉しくやりがいを感じます。
多摩美の卒業生は多く、同期だけでも3人います。一人はモデル作りを、もう一人はVRの新規プロジェクトでメインの背景を担当しています。常に心掛けていることは、作品についてはさらに魅力的になるよう研究し、受け身ではなく積極的に提案することです。また、業務についても、より効率化が図れる技術ソフトはないかと常に探しては試しています。そして、映画や音楽、ゲーム、ツイッターで話題になっていることなど、エンタメにつながる今の流行を常に追いかけ、なぜ流行っているか、話題になったきっかけは何かを考えて探るようにしています。
多摩美への決め手は選択肢の多さと社会へのつながり
高校時代は獣医学部への進学を考えていました。ところが友達の影響を受けて、受験直前で進路を変更してしまったので、両親は驚きました(笑)。でも、他大学と比較したり知人にヒアリングするなど私なりに研究した上で、多摩美は就職の選択肢も含め社会と強くつながっていることを両親に説明し、納得してもらえました。
これは入学後に気づいたことですが、多摩美には野村辰寿先生のように第一線で活躍されている先生が多く、その関係で国内外から有名な方を講義に招いたり、食事に同席させて頂いたりなど、普通では考えられない体験をしたことも財産となりました。
魅力的な動きを作れますと、自信を持ってアピール
ひとつ好きなことを突き詰めれば、それは自分の強みになります。私は1年かけて1本のアニメーションを作りました。なめらかに動かすことに重きをおき、面接では「キャラクターの魅力的な動きを作れます」と、自信をもってアピールしました。もともと獣医学部を目指すほど動物が好きでしたので「動物をメインにした動きは負けません」と。
私は離島育ちという背景もあって、どこでも同じように楽しめるソーシャルゲームに可能性を感じました。ゲームに限らず、エリアや環境を越えてさらに世の中を楽しくさせることが、私の大きな夢です。