デザインに限らず日本画や油画など多数の学科からリーダークラスの活躍
株式会社セガ
家庭用ゲーム機、PC、スマートデバイスに向けたゲームやデジタルサービスの企画・開発・販売・運営を行うセガグループの企業。
https://www.sega.co.jp/
2024年5月更新
共通しているのは
確かな基礎力に基づく汎用性の高さ
中山 雅晴さん
株式会社セガ
JA Studios 第2事業本部 第3事業部
第3オンライン研究開発デザイン1部
部長
セガゲームスの事業部では『PSO2 ニュージェネシス(以下『PSO2:NGS』)』を一番大きなタイトルとして開発をしています。デザイナーといっても、UI、モーション、エフェクト、アートなど、業務は多岐にわたります。多くのタイトルは開発運営期間が長いため、個人のスキルが停滞してしまわないよう、自分のメイン業務を拡張しさらに高みを目指す教育プログラムを設けているのが当社デザインセクションの特徴です。時代の潮流もあり年々スケジュールやコスト意識が変化していて、作業の効率化がよりシビアになってきました。デザイナーにおいても、質はもちろんいかに最短距離で生産性を向上させられるかが求められています。
ポートフォリオは作品だけでなく装丁へのこだわりも大事
セガゲームスには、デザインに限らず日本画や油画など多摩美の卒業生が多数在籍しており、部署内にも5名がリーダークラスで活躍しています。共通しているのは確かな基礎デッサン力に基づく汎用性ですね。仮に入社時ツールを使いこなしていた人も、基礎的画力がないと技術が進歩したときなかなか対応できないので、これは大きな強みだと思います。
もちろん、画力だけが評価ではありません。就職試験では、二つを重視しています。まずは制作物の質ですが、その時ポートフォリオ内の作品だけでなく、その本の装丁まで見ます。手に取りやすさ、見やすいレイアウトなど、そのもの自体を一つの作品として捉えているか。例えば、優れた操作性でユーザーをゲームに没入させるなど作品全体の質を高めるのがUIデザインですし、操作するその先の行動パターンをどこまでイメージできるかはUXデザインにつながります。実はこの客観的視点はゲームを制作する上で重要な要素なのです。
次に、チームで何かに取り組んだ経験値です。ゲームは一タイトルに百人単位で関わることもあり、チームワーク作業です。トラブルが発生した時に、どうプロジェクトを遂行するか。いずれはリーダーとして引っ張っていけるような人を求めています。
人との差別化ができる学生が目を引く
ゲーム業界で活躍できる人とは、野心が強い人。ガツガツしていて、自己投資を惜しまない人。でもそれを全面に押し出すのではなく、協調性も持ち合わせているような人だと思います。デザイナーの場合、そんな素質はアウトプットに表れます。授業の課題以外にも、自主制作や学外活動、アルバイトなど、積極的に制作に取り組んでそれをアピールし、人との差別化ができる学生は目を引きます。今やりたいことだけでなく、さらにその先の広がりある将来への片鱗をどんどん見せてほしいですね。
入社時から人気タイトルに携わり、
エフェクトリーダーとして全体をサポート
福留 竜介さん
2011年|グラフィックデザイン卒
株式会社セガ
JA Studios 第2事業本部 第3事業部
第3オンライン研究開発デザイン2部 第4デザインセクション
高校生時代、「多摩美で絵を描きまくるぞ!」と単純に考えていた僕は、入学して驚きました。アートやグラフィック全般を学び、広告業界を目指しデザインに集中する人やWebにのめり込む仲間を見て、デザインの多様性を改めて知ったのです。その中で僕は、デジタル表現の面白さに目覚めたことと、より大勢の人に届くものを作りたいという思いが強まっていったことからゲーム業界を志望しました。
社会で生かせる総合的な学びを得ていた
入社時から『PSO2:NGS』に携わり、現在はエフェクトリーダーを務めています。エフェクトとは、必殺技などのシーンに施す演出効果のことで、僕はリーダーとして進行やクオリティーの管理と、技術サポートを行っています。当初3Dの技術や知識はほとんどなかったので、すべて入社後に教わりながら習得しました。しかし、多摩美で3年生から専攻したアニメーション制作で培った、色の美しさや動作の気持ち良さといった表現はそのまま仕事に生かすことができました。他にも、企画書を視覚的にわかりやすく書くことや相手に伝わるプレゼン手法など、社会で生かせる総合的な学びを学生時代に得ていたことを、いま実感しています。
分業が多い業種だからこそ幅広い知識が必要
さまざまな学びはありましたが、中でも卒業制作を作りあげたという事実、一人で全行程をやり遂げたという自信は、特に僕の大きな力となっています。ゲームは分業が多い業種だからこそ、デザインやアートに関する幅広い知識があり、全体的に捉えられることが求められます。この業界に限らずモノづくりを目指す方はぜひ、何が作りたいのか、今やるべきことは何かを突き詰めてほしいです。やがてその自信が拠りどころとなり、自分の強みとなります。