お知らせ

受講生のみなさまへ

同じ気持ちを共有していると思います。
何が出来るのだろうか。何をすべきなのだろうか。
私たち生涯学習に携わる全てのスタッフも思いは一緒です。
今、表現に携わる者は、「如何に作るのか」ではなく、「何故作るのか」を問うています。
表現は精神の領域に属するからです。作品は道具が生み出すものではありません。カメラが写真を撮るのではなく、心がシャッターを押すのです。
自分のことを考え、他人のことを考え、社会のことを考え、世界のことを考え、メディア自体について考える。あらゆることを考え抜かなければ、表現は地上に降りて来ません。
言わば芸術は考えが外部に滲み出たものだと思います。
私たちは、被災の痛みをどのように引き受け、どのように伝えるかを切に考えています。
「怪我をしたことの無い者が人のキズをあざ笑う」というシェイクスピアのセリフは強い警告です。表現は怪我です。人の心に寄り添い、人の心を動かし、人の心に火を灯す。それが表現する者の仕事なのです。生涯学習という仕事もそのひとつと考えています。
私たち多摩美術大学生涯学習センターは、受講生の方々と共に教室の中で、教室の外で「非力だけれど無力ではない」仕事を続けていきたいと思っています。

多摩美術大学 生涯学習センター長 萩原 朔美