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テレビ受像機「ブッシュTV12」「ブッシュTV22」
1949 |
テレビ技術創生期のイギリスは、スコットランド人、ジョン・L・ヘアード(1888〜1946)の様々な発明により、世界の最先端技術をリードする存在であった。ヘアードは1923年に、機械的走査TV受像装置を開発した。その2年後、人間の顔をTVモニターに鮮明に映し出すことに成功する。翌1926年には動く映像をまた、1928年に彼はイギリスで発信したTV画像をアメリカで放送することにも成功した。ヘアードが大西洋横断TV放送を実現した1926年に、アメリカのV・ツウォルギンがカラーTVの特許申請を行っているが、1938年にカラーTVを最初に発表したのはヘアードであった。戦前はまだモノクロTVは般的ではなかったが、戦後のイギリスでは12インチや22インチのブッシュTVが人気の的であった。当時人気のあったブッシュTVや、ラジオ「ダック90」など様々なブッシュ社製電子機器の特徴であった流線形のべ一クライド製筐体は、1930年代を通して愛され続けた。1907年、アメリカのL・べ一クランドが特許を取得した合成プラスチック、べ一クライドは、1950年代に入っても盛んに使われ続けた。茶褐色のべ一クライドは生産が容易だったが、やがてアメリカでは鮮やかな色のべ一クライドが登場する。1965年、TV受像機の走査線が405本から525本に増加したのを境に、それまで栄華を極めていたブッシュTVの時代は幕を閉じる。役目を終えた「ブッシュTV22」は輸出先の日本で水槽として使われたという逸話もある。
【素材】べ一クライド、金属部品、ガラス
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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