
9月22日、東京ミッドタウンデザインHUBにある、多摩美術大学TUBにて美大生×官僚の共創デザインラボによる、「第9回共創ワークショップ 公開デザインプレゼンテーション」が開催されました。

共創デザインラボは、2020年に美術系大学生を中心とした学生と官僚有志によってスタートしたデザインコミュニティです。政策やコミュニケーションなど、官僚が抱えるさまざまな課題に対して、共同でワークショップに取り組むなどしながら学生視点やデザイン視点からアイデアを出し、新しい可能性を探ってきました。2024年度からは、所属学科や学年の枠を超えて横断的研究や社会的課題に取り組むプロジェクト型授業であるPBL(Project Based Learning)科目としてさらに研究を深めていきます。
美大生×官僚。一見遠い存在同士がアイデアを出し合いながら、社会課題解決への新しいアプローチを探る
第9回目となる今回のワークショップでは、学生たちはフィールドワークとして経済産業省やデジタル庁を訪問しました。官僚の働く現場を見学し、省庁の考え方を伺ったり、官僚の皆さんとワークショップを行い、美大生と官僚が課題を共有しながらアイデアを出し合いました。その経験から得られた気づきをもとに、「アートが果たす社会的役割:アーティストと社会が共生する日本の未来へ」をテーマに掲げ、AIの発展などの社会変革の中における創造性の重要性について議論し、研究を進めました。アートが社会に与える影響や、アーティストが社会課題に対処する新たな視点を提供する方法について、4つのチームに分かれて深く考察して試案の制作とリサーチを重ね、共創デザインラボに参加している官僚の皆さんの助言も得ながら、社会実装案までをまとめて成果を発表しました。各チームの発表内容や官僚の皆さまから寄せられた質疑応答、アイデアへの感想などは共創デザインラボの公式youtubeからご覧いただけます。
各チームの研究成果概要は以下の通りです。
Aチーム
『UMAとゆかいな仲間たち』
地方と都心の格差にも着目し、地域の多様な世代と連携しながらアートを身近で親しみやすいコミュニケーションツールとして利活用する提案。
Bチーム
『過程のアート』
デザインを直感的に共有できるアプリFigmaで感情を図案化。ことばにできない心情や体験を表現し、他者と共有する過程も重要視する、社会課題に寄り添うアイデア。
Cチーム
『カラフルガセキ』
霞ヶ関駅にカラフルなオブジェを設置し、駅の利用者の気持ちを明るくするとともに、駅の魅力向上を図る。
『Artistalk』
アート作品を、作者本人ではなくAIと対話しながら鑑賞できるシステム。未来を見据えた、会話を前提としたアート鑑賞のアイデアの提案。
Dチーム
『アート教育のリデザイン』
「アート=思いを伝える手段」となることを学校教育を通じて伝えることで、鑑賞者のアートリテラシーの醸成を図る教育プログラムの提案。
美術館に所属していない学芸員資格取得者に、その知見をアート教育に生かしてもらう『キュレティーチャーズ』というアイデアも提案。
ワークショップの成果と今後
本ワークショップの成果として、アートと社会の共生の可能性を探る多くのデザインアイデアが生まれました。後期の授業では美大生が培ってきた観察眼や物事を具現化する力と、社会課題にアプローチする上で官僚が養ってきた知識や経験を組み合わせた「共創」をさらに進め、新たな課題に取り組みます。
なお今回の共創デザインラボの成果物は、東京ミッドタウンの秋のデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2024」の一環として、10月15日から11月4日までTUBで展示されるほか、12月2日から2025年1月13日まで、東京ミッドタウンデザインHUBで開催されるTama Design University展「デザインの風が最初に触れる場所」でも展示されます。
Tama Design University研究展
「デザイン:5つのエリア」
日程:2024年10月15日(火)〜11月4日(月・振休) 11:00~18:00
※会期中無休
場所:東京ミッドタウン ミッドタウン・タワー5F
多摩美術大学 TUB(東京ミッドタウン・デザインハブ内)
入場料:無料
Tama Design University展
「デザインの風が最初に触れる場所」
日程:2024年12月2日(月)~2025年1月13日(月・祝)
※12月28日(土)~1月6日(月)は休館
場所:東京ミッドタウン ミッドタウン・タワー5F
東京ミッドタウン・デザインハブ
入場料:無料
