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『ゴジラ-1.0』で第96回 アカデミー賞Ⓡ 視覚効果賞を受賞した山崎貴監督が多摩美生限定で特別講義を開催


学生に語りかける山崎貴監督

11月25日、八王子キャンパスのレクチャーホールにて、『ゴジラ-1.0』でアジア映画史上初となる第96回 アカデミー賞Ⓡ 視覚効果賞を受賞した白組チームを率いる山崎貴監督の特別講義が行われました。

進行を務めたグラフィックデザイン学科の野村辰寿教授と山崎貴監督は、旧知の仲で親交が深く、野村教授が以前より登壇を依頼しており、今回実現に至りました。
特別講義は、グラフィックデザイン学科主催による全学科全学年を対象とした3・4限公開授業として行われました。インタビュー形式により「映画監督以前」、「映画監督として」、「そしてゴジラ-1.0」の3つのパートで、山崎監督が併せ持つ「映画監督」「脚本家」「VFX制作者」の強みについてお話しいただきました。講義最後には、学生から事前募集したゴジラにまつわるファンアートや作品に、山崎監督から講評があり、学生から事前に寄せられた質問に山崎監督が答えるシーンがありました。予定時間を超えた休憩なしの4時間に渡る講義は、聴講した学生にとって充実したものとなりました。

山崎監督と野村教授のユーモアあふれるトークが映画製作の楽しさと魅力を存分に伝え、学生たちの心を掴みました。
1.映画監督以前―現在の制作スタイルに至るルーツ

最初のパートでは、山崎監督が特撮の世界を志すきっかけとなった子供のころに観た作品の紹介や、VFXを突き詰めていくに至った阿佐ヶ谷美術専門学校での3人の先輩・同期との出会い、ミニチュア作成の技法を身につけられたという株式会社白組でのアルバイト経験のお話を伺いました。伊丹十三監督のもとで働いていた際には、コンテから提案させてもらったなど、当時若手だった自分の意見をたくさん聞いてもらえた経験から、今の現場でも制作スタッフ同士が何でも対等に語り合えるスタイルを作っているとお話しされました。

2.映画監督としてー昭和の世界観・VFXの第一人者へ

このパートでは、『ゴジラ-1.0』の制作に繋がる技術が培われた、山崎監督がこれまでに制作された映画などを紹介いただきました。VFX満載の長編映画のデビュー作品『ジュブナイル』や、アニメーション映画、マンガ原作の映画、文芸・戦争映画、ゲームや絵本の執筆など、多岐にわたるジャンルの制作経緯や制作秘話を伺いました。山崎監督自身が、現地で見てその迫力に一番驚いたと述べた西武園ゆうえんち『ゴジラ・ザ・ライド』では、体験した学生から「『ゴジラ・ザ・ライド』に乗るためだけに行って、1日で20回乗りました」というコメントや、「乗る直前までけんかして泣いていたが、想像の100倍面白くて機嫌が直った」という感想が出て、会場が笑いに包まれました。

3.そして『ゴジラ-1.0』―制作技法をひもとく

最後のパートでは、『ゴジラ-1.0』公開の7年前からオファーが出されていた中、制作に至るまでの経緯や、メイキング映像を元にどのような仕組みでVFXが作られているかをご紹介いただきました。

メイキング映像では、ゴジラの体が再生するシーンで5億ポリゴンが使用されている様子や、水中のシーンで泡のレイヤーが何層にも重なっている様子、今の技術だからできる爆発のシーンなどを解説いただき、会場の学生たちは映像に見入っていました。

学生が制作した作品への講評や質疑応答のコーナーでは、寄せられた作品ひとつひとつに山崎監督がコメントや制作へのアドバイスをし、質問に対してご自身の作品に込めた思いについて語りました。

制作の楽しさを忘れてしまう際の対処法は?という質問に対しては、「段々ルーティンになってしまっているときに、思うように作れなかったデビュー当時のことを思い出します。今は裁量が大きく、自分で企画を出して映画を作ることができる恵まれた環境にいることを実感すると、当時自分がわくわくしていた気持ちを思い出します。」と話し、最後には学生に温かいエールをいただきました。

学生の作品に講評いただく様子。

「専門学校に行ったとき、すごい先輩が居ることに衝撃を受け、自分の得意なことが評価され武器になる世界に飛び込めたことを天国と感じた。今の子たちは何をやったらいいかわからない人が多い中、やりたいことが見つかっている多摩美生はとても幸せだと思う。そのことを自覚し、今がいい時期であることを改めて思い出して、自分の人生をかけたいことが見つけられるよう応援しています。」

特別講義終了後には、進路を考えている中学生や高校生にもメッセージをいただきました。

「やってみたい!」を大切に。山崎監督のメッセージが導く、あなたらしい道

「進学を決めるときには、親が許してくれなかったり、才能があるのか仕事につけるのか不安になったりと、ネガティブな要素が出てくるかもしれない。そこで大概の人は諦めてしまうが、魂が揺さぶられて諦められない人もいる。そんな人は好きな道を選ばなかった自分より、絶対楽しい自分がいると思うので、思った進路を選べばいいと思います。」

野村教授が、映画鑑賞した当時に感動を書き綴った『半月通信』というブログも紹介されました。
山崎監督と野村教授を中心に、作品講評や質疑応答いただいた学生と記念撮影しました。
特別講義当日は、開場前から学生の行列ができていました。

ひとびと

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