上へ, 下へ

岡田 菜美

担当教員によるコメント

岡田菜美は、家族などの身近な人物を作品のテーマとしてきた。大きな画面には思い出の風景や人物のシルエットが入り組み、幻想味をおびた複雑な様相を呈する。最近作では、もはや具体的なものは見えなくなり、風景や人物の形ではなく、「思い」だけがそこにあるかのようである。家族に対する「思い」とは、肯定的な気持ちばかりではなく微妙な感情が複雑に絡み合い、他人と共有されることのない特別なものである。岡田はそういう性質を持つテーマと実直に向き合い、その真摯な制作態度は作品に説得力を与える。そしてその繊細な画面の筆致から私たちは、家族との、絵画との、静かで豊かな対話を享受するのである。

教授・吉澤 美香

  • 作品名
    上へ, 下へ
  • 作家名
    岡田 菜美
  • 作品情報
    『上へ』
    技法・素材:油彩、キャンバス
    寸法:H181×W227cm

    『下へ』
    技法・素材:油彩、キャンバス
    寸法:H181×W227cm
  • 学科・専攻・コース