Wear the Nature

根橋 瑞希

作者によるコメント

現代になるにつれ、そして私たちが大人になるにつれ、自然と触れ合う機会は減って行く一方である。そこで身につけることで自然に触れらるようにと考えた。自然を身につけるとはどういうことかを考えた作品。

担当教員によるコメント

川底や、草むらに鼻緒をつけて履けるようにした「サンダル」や、土の付いた雑草や木をそのまま被る「帽子」。タイトルの通り、自然をそのまま着ることを試みた作品だ。私たちの身の周りにある大量生産された工業製品は、たとえそれがプラスチックや金属で出来ていても、全てこの地球の自然の中に存在し、人の手によって加工されて生み出されたものだ。そうした加工は、自然を切り取り、人にとって扱いやすい形に変える営みだが、同時にそれは、人とは無関係に存在する自然の粗暴さを隠蔽する。そして、しばしば災害や事故において、隠蔽が機能不全になったり失われることで、自然の粗暴さが再び露わになることがある。この作品では、いわば小さな災害・事故を起こし、自然の粗暴さ、不条理さをユーモラスに暴き出すことに成功している。

講師・谷口 暁彦