卒業制作優秀作品集2018
情報デザイン学科
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ヒロシマを読む
パネル、冊子
サイズ:H8000×W2500×D1500mm
広島への原爆投下という歴史の一部分を客観的かつ冷静に表現した作品です。社会の変化や実際の被害を当時の新聞と被害状況を示した地図で表し、被害に遭い当時を語ってきた被爆者がどんな思想から今現在活動しているかをインタビューし本にまとめました。さらに作品を読み取りやすくするために「昔と今」で分けた展示空間にしています。作品を見た鑑賞者自身がこれからの日常や平和について考えるきっかけとなれば幸いです。
作品使用データ:
・中国新聞 昭和20年8月26日〜10月26日
・毎日新聞 昭和20年8月1日〜9月2日
・地理院地図(電子国土web)
・原子爆弾被災状況広島市街説明図
・黒い雨の降った地域
担当教員によるコメント
原爆に関する平和教育を受けて育った作者は、それが感情的な側面ばかりが取り上げられ、偏った伝わり方をしていることに問題意識を持っていた。原爆という事実に客観的に向き合ってほしい。そのために当時の報道や伝承者へのインタビューなど調査を重ね、それらを統合した部屋を構成したのが本作である。原爆投下周辺の約一か月分の新聞一面を素材に、本文を消して見出しだけを残すことで、大衆紙と地方紙の報道の差異を示した壁面。爆心地、全焼区域、黒い雨が降った地域を示し、地形が被曝に大きな影響を与えていることを暗示した地図。被爆者の肉声を記した冊子。いずれも能動的な読解を求める作品だが、「広島」と「原爆」に潜在する複雑で多様な文脈と向き合うためには、客観的に捉え主体的に思考しなければならない、という作者の誠実な問いが可視化されている。
講師・中野 豪雄