サーモンちゃんのあじ

佐藤 瑠美

作者によるコメント

人間がキャラクターという架空の存在とより濃厚に触れ合うために、キャラクターを食べるというコミュニケーションを試みました。専用のヘッドマウントディスプレイを装着し、寿司を食べようとすると手の上にサーモンちゃんが現れます。ARの機能と寿司の食感を組み合わせることでキャラクターを食べる体験をすることができます。食べることができるのは「サーモンちゃん」というサーモンを擬人化して生まれたキャラクターです。

担当教員によるコメント

「サーモンちゃん」は、鮭が擬人化された存在で、作者が独自に創作したキャラクターだ。作者は、こうした二次元の平面上で生きるキャラクターと、三次元の空間で生活する私たちが、どのようにしてリアルなかたちで触れ合うことが出来るかを、3年次から追求してきた。その結果、キャラクターを「食べる」ことでコミュニケーションを図ろうとする強烈な作品が出来上がった。「食べる」ことは、不可逆な破壊と吸収、排泄へのプロセスであり、それは地球上の生命が営み、作り出す巨大な自然のサイクルへと繋がってゆく。「食べる」ことで、こうした一連のプロセスの中に架空のキャラクターを加えることは、真の意味でキャラクターと共に「生きる」ということなのだろう。

講師・谷口 暁彦