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板垣 桃子

担当教員によるコメント

板垣は、キルンキャストの技法で数色のガラスが溶け合う表情を注意深く観察し自身と向き合うことで、課題を通じて自身の関心事に対するイメージの具体化を明確にしてきた。卒業制作は、自由にドローイングしたかたちをもとにたくさんの小さなガラスのピースを色ガラスのキャストで作り、それを繋ぎ合わせることで一つの形に構築した。重なり合う色ガラスの透きとおった表情や穴の開いた形は空気の流れを感じさせたことで軽やかな形となり浮游感が生まれ、夕暮れの雲に映った色彩の情景を感じさせる。これまで課題で取り組んできた素材への探究とキルンキャスト技法の研究の蓄積が、この作品に昇華されたのであろう。今後の作品展開に期待する。

教授・池本 一三