言の葉の彩集

石田 晴那

作者によるコメント

和歌の言葉は、身近な植物を通して古い時代の人々の豊かな心を現代に伝えてきた。草木の姿かたちは今も昔も変わらないけれど、言葉は時代とともに変化する。現代人は植物を見て何を思うだろう、どのような新しい感覚で表現するのだろう。そんなことを考えながら、和歌に登場する植物たちと向き合い制作した。

担当教員によるコメント

石田晴那は意欲的な人だ。3年時のポスター課題では、巧みな構成力があって初めて可能な4連作のB全ポスターを発表して仲間たちの注目を集めた。一作ずつが独立して成り立ちながら、全体で更に大きなビジョンが見える新鮮なものであった。卒業制作は、本人が刈り取ったススキで石田自身が染めた布地を机上に広げ、「ふたつの葉」すなわち草木染めの「葉」と「言葉」をモチーフにして、ポスターと書籍に展開すると語った。色彩を草木でつくる日本の色に託し、文字を和歌に託して、色と言葉に共通する植物をテーマに、自身のヴィジュアル造形で構成した。とりわけブックデザインは展開にリズムもあり、本人が植物で染めた多くの布地が生かされている。品のある心地よい仕上がりであった。

教授・木下 勝弘