Redesign Myself

西川 干尋

作者によるコメント

もしも自らの手で、自分をつくり直すことができるなら。たくさん見る子でいてほしい。たくさん聞く子でいてほしい。たくさん言葉にする子でいてほしい。今の自分が大切にしたいことはなんだろう。過去の自分に伝えたいことはなんだろう。はぎれをつなぎ合わせる行為は、人が自分をつくりあげるために行う抽象的な過程を想起させる。

担当教員によるコメント

西川千尋は芯の強い女性だと思う。クレバー且つ、秘めたエネルギーに満ちた大きな存在だった。人々とあまり群れず、他を気にせず独歩する姿が印象深い。基礎課程の時からコミュニケーションの手段として立体作品に対するアプローチが多く、それらは単純な可愛さとか美しさとは違う、俗世の好みとはあきらかに一線を画す危険な魅力が漂う作品群だった。人が真似することの出来ない独自の創造世界が彼女の中に既に確立されていたのだと思う。この卒業制作でも布の端切れを丹念に繋ぐ行為による大きな立体作品に挑んだ。それは生まれ変わりたい自身の姿だと語る。日本人の美徳の象徴とされる「三猿」の真意にアンチテーゼを投げかけたテーマ設定、更にそのことを迫力に満ちた三体のオブジェで提示した成果は、彼女らしく、かなり愉快で強烈だ。

教授・澤田 泰廣