新訳『野生の思考』, pictures of La Pensée sauvage

小泉 桜

作者によるコメント

レヴィ・ストロースは『野生の思考』の中で”ブリコラージュ”を説明する。有り合わせの物をつぎはぎ、新たに物を作り出すことだ。私はこの本から得られた文化人類学の思考の断片を、グラフィックデザインの方法で私なりに再構築した。これは”ブリコラージュ”であると言って良いのだろうか。

担当教員によるコメント

デザイン制作からは一見遠い学問領域から積極的に影響をうけることで、グラフィックデザインの新しい表現を生み出そうと試みた作品である。『野生の思想』の文化人類学者レヴィ=ストロースの構造主義をヒントに、テーマや構図や技法を模索し、鳥や象、植物、自動車や飛行機などをモチーフにして、ふたつの異なる方法による表現を「つぎはぎ」している。また、そんな前提を知らずに見ても、造形のユニークさと力強さで十分に楽しませてくれる。努めて広い視野を持とうという意欲と、難解な書物も噛み砕こうとする意思と、まだこの世界にない表現を自分が作り出すという野心を持って、堂々と制作に取り組んでいる。

教授・服部 一成