キャッチアンドリリース
臼井 達也
担当教員によるコメント
現在、私たちの生活の中にはスマートフォンやタブレットなど、様々な大きさの薄い、触れることのできるディスプレイがあふれている。そして、それはたんに映像を映すだけの平面ではなく、インターネットに常時接続されていることで世界を見て、触れるメディアになっている。こうした環境におけるリアリティの変化について、臼井は作品制作を通じて探求してきた。本作品では、インターネット上を流通するミーム動画を素材とし、それを大小の液晶ディスプレイとともに構成している。そこでは液晶ディスプレイは透明な映像装置としてではなく、ガラスのように物理的な存在として扱われ、映し出される映像がその平面に衝突しているかのように構成される。それはタッチパネルの、そのつるつるとした薄い表面における、映像の触覚を増幅してみせるものでもある。そして、素材として構成されたミーム映像は再びYouTubeにアップロードされ、インターネットの海に戻っていくのだ。これは、私たちとインターネットの間にある、ディスプレイという水面のような境界(時に私たちを反射し、手を入れて触れることのできる)を通じて実現される、生態系のようなサイクルだ。本作品は、そうした生態系の中で世界を見つめる私たちの眼差しのあり方を探求するものだ。
講師・谷口 暁彦
- 作品名キャッチアンドリリース
- 作家名臼井 達也
- 作品情報映像インスタレーション
技法・素材:液晶ディスプレイ、iMac、その他
サイズ:H3000×W6000×D7000mm
URL:http://tatsuya-usui.com/Catchandrelease.html - 学科・専攻・コース
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