siki, 伝統的な加工方法を応用した紙の食器

和田 かのん

作者によるコメント

過去の人々の暮らしにおいて、紙が大きな役割を担っていた時代がある。
当時の人々は、着物から箪笥、水筒まで紙を素材として作り、実際に使っていた。

一方の現代では、液晶などの電子媒体が私たちの生活を支えている。
私自身もデジタル化の恩恵をうける一人だが、時折紙のあの質感が恋しくなるときがある。

そんな気持ちから、現代の生活の中にこれまでと少し違う角度で紙を取り入れる方法として、食事という場に紙のあの穏やかな質感が似合うと感じたことから、伝統的な加工方法を応用して食器を制作した。

担当教員によるコメント

紙の器は今までになかったわけではないが、和田の作った紙のカップなどには素の魅力があった。あたたかみが感じられた。素朴で民藝的な魅力があった。その張り子のようなものの型に素朴さが現れていたのではないかと思う。綺麗すぎない、細やかで精度が高すぎないものの魅力を生み出すのが一番難しい。手作りはなんでも魅力的だということはない。しかし確かに素朴さをデザインとして目指すのは簡単なことではなかった。

教授・深澤 直人、准教授・長崎 綱雄

  • 作品名
    siki, 伝統的な加工方法を応用した紙の食器
  • 作家名
    和田 かのん
  • 作品情報
    技法・素材:越前和紙、でんぷん糊、水性工芸うるし
    サイズ:S)H150×W150×D10mm、M)H170×W170×D15mm、L)H210×W210×D15mm
  • 学科・専攻・コース