列島

岩井 洸太

担当教員によるコメント

画面中央黒々と描かれた穴に先ず目が向かう。その暗闇から外周に向かって浮遊するように不思議な物体が飛び散っている。増殖と分裂を繰り返す生命体のようで、その数たるや観る者を圧倒する。更に驚くことに、作者は筆を一切用いず全てボールペンだけで描いたという。漆黒の色面は極細のペン先を執拗なまでに繰り返し走らせた結果だ。まるで仏門の修行僧の勤行をみるようで、岩井はこの作品を通し、ものづくりの真髄に触れたのではないか。その実感を大切に、今後も描き続けて行って欲しい。

教授・武田 州左