Prologue, Printing With Paper

王 哲

作者によるコメント

紙という素材の新たな表情や成形の仕方を探究するプロセスの中で、デジタル技術やクラフトマンシップを結合し、廃棄された材料を用いて手作業の温もりに転換させ、そして周辺環境による痕跡も残りつつある。自らが開発した3Dプリンター技術を通して、ランダムのテクスチャーを持つパルプによって積層し、これらのオブジェを完成させた。プリンター設定の変更や乾燥過程のコントロールにより、多様なテクスチャーや形の表情を与えた。

担当教員によるコメント

オウ・テツさんの作品「プロローグ」は、3Dプリンターにクラフト的な魅力を持ち込んだ新たな造形表現を提案する作品である。特筆すべきは、3Dプリンターの機械を自ら改良して、何ができるか、どんなものができるかを模索しながら進めて行った制作プロセスである。3Dプリンターは、データ通りのものを量産するための機械であるが、そこに手が介在できる余地を敢えて設けておくことで、作品に自ずと個体差がつくられる。予め文字の書かれた半紙を、3Dプリンターの材料パルプに用いることで生まれてくる白・グレー・黒の階調、そのニュアンスはクラフト的な大いなる魅力をつくっている。再生した紙の利用、墨を用いての着色など、東洋的な思考、材料発想も作品から垣間見える。

教授・濱田 芳治

  • 作品名
    Prologue, Printing With Paper
  • 作家名
    王 哲
  • 作品情報
    技法・素材:紙、墨、3D printing
    作品形態:素材研究
    サイズ:1)110×600×600、2)150×850×130、3)400×380×380、4)600×150×150、5)300×120×300
  • 学科・専攻・コース