Productivity crime

賀口 舟梧

担当教員によるコメント

本作は、作者が強い関心を寄せている社会問題をテーマにしたもので、ベトナム人が不等な環境で製造業に従事していることに着眼して制作したものである。男性ポートレートはベトナム人を象徴するアイコンとなっている。リピートされた男性のイメージは、固有の人格を持つ人としてではなく、ベトナム人という一括りの労働力として見ている諸外国人への問いかけとして考えているのだろう。刷りの加減により少しずつ異なる出来上がりになることが前提となる銅版画を、敢えてTシャツに刷ることで、一見同じに見えるイメージの中に、少しずつ異なる表情を作ることで人間のもつ個性を表現しているように見える所に、作者の鋭くデリケートな感性を見ることが出来る。

准教授・大矢 雅章