BOMB NIE

小山 諄貴

担当教員によるコメント

大量破壊兵器爆弾と男性用性玩具の形状がキメラ的に合体した7つのオブジェをショーケースに陳列し、引用された爆弾のデータを記した小冊子と共に展示する『BOMB NIE』と題する本作は、平成生まれの日本人男性である小山が、自身の属するジェンダーと時代を見据え制作した力作である。作者は爆弾と性玩具の形状的類似を発想の起点とし、そこからアニメやゲーム、映画の中で消費される記号としての「戦争」や「死」へのリアリティーと、快楽のみを目的とした男性用性玩具が象徴する閉ざされた関係性を重ね合わせ、丁寧に多層的コンセプトへと構築した。結果、戦争の暴力的行為に介在する男性性の所在を顕在化するに留まらず、社会的事象に希薄な時代感覚、物質的欲望に慣らされた私達の視線の在処、そしてそれらを肉体化する一人として自身の批評を内在化する事に成功した。論争を呼ぶ完成度の高い作品であり、彼の今後の制作に注目したい。

教授・笠原 恵美子

  • 作品名
    BOMB NIE
  • 作家名
    小山 諄貴
  • 作品情報
    技法・素材:PLA樹脂、オナホール、アクリルケース、ライトボックス、シリコン、モチーフとなった爆弾の詳細が記載された冊子
    サイズ:H140×W200×D45cm
  • 学科・専攻・コース