卒業制作優秀作品集2020
演劇舞踊デザイン学科

共同(キャスト・スタッフ)
卒業制作 演劇公演

『黄昏ゆーれいランド』

演劇(115分)
期間:2020年1月10日~13日
会場:東京芸術劇場シアターウエスト

演出:葛生 大雅
作:青木 幸也

出演:青木 美奈/池森 柚葉/石川 亞子/稲垣 実里/遠藤 雄斗/大嶋 アリフ/大林 岳詩/加藤 優菜/木村 星弥/髙下 七海/権田 帆南/櫻井 碧夏/杉山 愛実/武田 萌花/田中 樹音/田山 陽大/丹野 武蔵/中村 勇輝/春木 来智/廣畑 慎之介/福山 翠/藤井 さくら/昌本 尚輝/桝永 啓介/宮地 春奈/村上 桜佳/山内 美怜奈/横山 真琳/吉澤 萌々茄/芳田 遥

美術:青木 哲(美術プラン)/石田 侑/加藤 真夕/久野 毬乃/久米 由芳子/松田 真季/宮本 奈依

照明:秋谷 優/岩間 絢音/長谷川 楓(照明プラン)/原田 玲緒奈

衣裳:上野 優花/大淵 緋奈/熊倉 晏葉/中原 美鶴/西野 絵美/FENG Bingyao/福原 あかり(衣裳プラン)/増渕 明花

舞台監督:前田 和香

制作:小田 さくら/髙橋 夏美/深作 美有/三浦 滉生/村田 天翔

担当教員によるコメント

『黄昏ゆーれいランド』は作・演出を学生が担当しました。作を担当した青木幸也は、言葉を丁寧に紡ぎ、独創的な世界を書き上げました。優しいイメージと世界に対する繊細な感受が溢れる美しい戯曲でした。30名以上の登場人物を出さなければいけない、一般的なエンターテインメントとしてのクオリティーも担保しなければならない、等々の卒業公演特有の性質に冷静に対応しながらも、彼本人だけが書き得る彼の戯曲を完成させました。演出を担当した葛生大雅は、大人数のカンパニー全体に常に気を配り、一人ひとりの能力やチャームポイントが発揮できる環境を作り上げました。
中々足並みの揃わない俳優たちを辛抱強く受け止め、少しずつでも着実に作品を作り上げていく粘りと忍耐力は大人顔負けのものでした。彼にとっては恐らく初めて経験する広さの劇場空間で、大人数の出演者を演出するという難しさの中、迷いながらも焦らず、一つ一つ自分の感覚で最善の道を探り続けました。劇中歌の作曲、振付も学生が担当しました。演出家と相談しながら作品の中で必要な効果や要素を押さえつつ、オリジナリティーも遺憾なく発揮しました。俳優たちは、観客の反応を敏感に感じ、公演を重ねる中で必要なもの不必要なものが明確になり、日毎に演技がクリアーになっていきました。
観客の前に立つということが、何よりの俳優修行であり、俳優の楽しさの醍醐味だと彼等の姿から再確認しました。

講師・糸井 幸之介(監修)


第3期の卒業公演は、作・演出ともに学生が担い、演出担当の教員は監修にまわるという初の試みで、卒業公演を行いました。デザイナーに選出された舞台美術ゼミの青木哲は脚本家、演出家とともに議論を重ね、卒業公演に相応しい舞台美術をデザインしたと思います。しかしながらどんなに良いデザインであっても、それを具現化し、舞台上で照明があたり、俳優が入り、それを観客が見てこそ、そのデザインに命が吹き込まれるものです。舞台美術ゼミ生9名は、このデザインを具現化するためにお互いに協力しあい、時には意見の相違もありましたが無事に最終公演の撤去作業まで行ったことを評価いたします。
私たちがこの学科で教えたいことは、作品を創り上げる実践的なプロセスはもとより、そのプロセスの中での人と人とのつながり、カンパニー全体の融合、個人個人の葛藤が作品を作るうえでの糧になっているということです。第3期舞台美術ゼミ卒業生はこの卒業公演でようやくこの学科の最終目的地にたどり着いたと同時に、これからの人生のスタートラインに立ちました。今後の飛躍を期待いたします。

教授・金井 勇一郎(舞台美術)


演劇舞踊デザイン学科 第3期卒業制作演劇公演は、初の学生作品学生演出で上演されました。戯作の第一稿を読んだ時「宇宙に連れて行かれる~」ような印象で、これを演出し演劇に構築してゆくのはさぞや大変と想像していました。が、ドラマトゥルグと卒業制作といういわば二律背反を背負った演出を学生たちは悠々と乗り越え私の杞憂を遥かに飛び越えてくれました。それを表現した出演者の皆さんの情熱にも敬服する次第です。そしてそれを支えた舞台監督はじめ演出部衣裳部照明部の皆さんも大健闘で、ビジュアルクリエイトチームも素晴らしい結果をもたらしました。
照明部は長谷川さんを中心にこの大作を良く研究理解し劇場に乗り込みました。劇場で創作しなければならない「照明」の使命に苦しみ悶えましたが、乗り越えてくれたと思っています。今後の人生の大いなる道標になるに違いありません。が、創造者たるもの一議的な結論だけでなく多くの思考を持つことが必要で、自分の目には鱗がついているかもしれない?との謙虚な気持ちを常に持つ事と探究心研究心を心がけねばならないと考えます。そのような思考の入り口に立ってくれたと思います。

教授・成瀬 一裕(照明)


戯曲の完成に先行する形で衣裳デザインを決めていくという、スリリングな過程。作家と演出家とのデザイン打ち合わせでは、登場するキャラクターの名称が衣裳デザインのキーワード。抽象度が高くファンタジーな創作の源泉はそこにあるのではないか。『黄昏ゆーれいランド』は感じる演劇だ。衣裳による表現が感じる扉を開いた。福原あかりのデザインを、衣裳ゼミ全員の力でリアライズしていく過程において、多様なアイディアと多彩な技法が絡みあい、豊かな表現が生まれた。

教授・加納 豊美(衣裳)


企画広報・パンフレット編集・予算管理・票券管理・フロント運営・カンパニー運営等々を担う制作部は、 集団制作となる演劇公演の要として活躍。果敢に挑戦し続け全席指定による有料公演を大入りに導いた。宣伝美術へのこだわりは、作品と観客を繋ぐ上での重要な役割を果たし、カンパニー自体の創作の指標にもなった。困難の連続を乗り越えた体験を、胸に刻んで、忘れないで。

教授・加納 豊美(制作)

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