アラン・カプローのハプニングについて , ── “環境(エンヴァイラメント)”としての新たな観者のあり方──

黄 夢圓

作者によるコメント

この研究では、アラン・カプローによるハプニングについてそれらの作品形態の構想過程から作品を分析する。これら作品形態の出現から発展に至る過程を辿った上で、観者のあり方という独自な視点を切り口にハプニングが制作された1958年から1969年の約10年間を4段階に分け、これらのような形態を持つ作品がいかにして新たな観者のあり方を提示してきたかについて述べる。このことにより、カプローないしハプニングの再評価を試みるとともに、今日のアートシーンにおける多様な作品形態の鑑賞と展示についての新たな視点を探る。

担当教員によるコメント

アラン・カプロー(1927-2006)は、1950年代末から1960年代にかけて台頭した「ハプニング」を確立した作家である。カプローは戦後アメリカ美術における重要な存在であるものの、日本では、彼についての本格的な研究はこれまでほとんどなされてこなかった。そのような状況において黄さんは、「観者のあり方」という独自の観点のもと、カプローのハプニングの研究に取り組んだ。英語文献を駆使し、同時代の他の作家や動向との関係性も深く考察しながら、カプローのハプニングの展開をリフレームした点で、黄さんの研究はカプロー/ハプニング研究、さらにはパフォーミング・アーツ研究に貢献しうる優れた成果を生み出した。

准教授・大島 徹也

  • 作品名
    アラン・カプローのハプニングについて , ── “環境(エンヴァイラメント)”としての新たな観者のあり方──
  • 作家名
    黄 夢圓
  • 学科・専攻・コース