空(うつ)

増田 瑠璃子

作者によるコメント

ゆく川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらずとあるように、
同じ景色を2度見ることは絶対にできない。
日頃何気なくみている景色でも、空間を設けることでみえてくる色や光が
無数にあると思う。
自分の先祖がまちづくりに携わった大阪の中之島という場所で、
先祖が見た空を見たり、新しい景色を切り取り人々の記憶に残るような
空間を作りたいと思い制作した。

4年間で学んだ中で環境デザインとは人と景色を繋ぐツールをデザインすること
という思いを軸とし設計に挑んだ。

担当教員によるコメント

大阪市の中央を流れる淀川に浮かぶ中之島、大阪を代表する中心地であり文化施設が集積する島である。この島は大阪を代表する景観地でもあり、遠くには生駒山を望み、島には歴史的建築物である中之島公会堂が存在する。この島の代表的な景観地を選出し、その場に景色を切り取ることにより更なる魅力化する装置をデザインしたのがこの卒制である。自らこの島の魅力をよく観察し、風、光、空気、眺望、魅力的な建築物などを見出し、その場に装置を設置することにより更に魅力的なものにする作品だ。それぞれの装置は、建築と言えば建築、装置と言えば装置という内容で、本人の観察力の中から湧き出てきた一瞬の魅力を昇華させるような装置である。これは自らの観察力をきちんと養わずにはこの作品は出来えない内容だ。

教授・枡野 俊明