T-chair

山下 開靖

作者によるコメント

フレームと面で構成される純粋な形から、より最小限を目指して削って行くとこで生まれた椅子。
素材を無垢材とし、最小限のフレームでありながら身体に寄り添うことのできる”面と線の境界”を探っていった。
座面・背・脚・貫を整理してまとめることで、簡潔な構造と収まりの良い佇まいとなっている。
後脚から伸びた背は正面から荷重を受けるためバランスが良く、横から座った際には肘置きとしても機能する。

担当教員によるコメント

「最小限のフレームでありながら、身体にそっと寄り添うことのできる“面と線の境界”をさぐっていった」とコンセプトにあるように、人間工学から最適とされる椅子の寸法の限界値をみる試みである。いわゆるステレオタイプの木製椅子をひな形に、座面、背面を外し、両側面の貫を寄せていくことで、最小限の座面と背面を構成し、原型を残したフレームだけの椅子となった。デザインする過程において何か不確定な方が、何かを誘引するように思う。この作品は少なくとも、椅子とそれ以外の境界を示している。座り心地が良いことが本当に良い椅子なのであろうか?そろそろ椅子の価値観を揺さぶる必要がある。

教授・米谷 ひろし