海中の怪獣

鍬本 雄大

作者によるコメント

海中では壮絶な戦いが繰り広げられている。鋭く尖った歯や、相手を麻痺させる猛毒の針、肉を噛みちぎる強靭な顎。水中で生きる彼らは、その多種多様な武器で自分たちを守り、そして敵を殺す。想像を超える巨大な生物の戦いから、肉眼では確認できない微生物同士の戦いまで。海の中はどこもかしこも戦場だ。海中の怪獣は、今日も戦う。

担当教員によるコメント

鍬本雄大の「海中の怪獣」表現は、海中において壮絶な戦いが繰り広げられている。結果、そこには想像もしたことがない不思議で見たこともない奇妙さがある。その世界観は、鍬本が大学の4年間で感じ取った「深海から神界へ」の海中の底辺、その湧き出る独自性のある「海底」表現だ。鍬本が最も大切にしているのは「海底の奇々怪界」という彼にしか発見出来ないもので、色彩から迫っても感じ取れない。だからと言って、日常性を無視したものではなく、無感動でもない創作者に与えられた悦びがそこにある。あるいは、恐ろしいと思うほど強引に寄せたくなる海底の美しき色彩と奥深い味に痺れるのだ。

教授・秋山 孝