もし、シンデレラがスマホを持っていたら？, シンデレラの物語を多角的に捉える事を目的としたインスタレーション作品

作者によるコメント

現代ではスマホは誰もが持っていて、それに伴いSNSも誰もが利用しています。それらは今や個人の内面に関わる事や、ライフスタイルを映す鏡と言っても過言ではありません。本作品は「もし登場人物がスマホを持っていたら」と想定し、シンデレラ、義理のお姉さん、継母の3人の登場人物それぞれのスマホを覗き見るインスタレーション作品です。一つの物事に対し、立場によって感じることや考えることが違い、正義や悪とするものも異なるということを伝えることを目的とし、スマホおよびSNSを使うことで、元々知っている名作童話のストーリーを多角的に捉えることに繋げられるのではないかと考え製作しました。本作品ではシンデレラの物語の山場となる「舞踏会の後、シンデレラがガラスの靴を落としてきた直後」にフォーカスして作品を制作しています。

担当教員によるコメント

誰もが馴染みのあるシンデレラという古典ストーリーをスマートフォンという極めて現代的なツールで表現した。いじめや妬み、娘に向けられた母の愛情、恋愛の高揚感など現代にも通じるエッセンスを描いているのだが、三者三様の立場でLINEでやりとりしている様、テキストだけでなく写真や動画での表現は、グリム兄弟の時代では決して描くことのできなかった新しい物語の記述方法の発見である。西洋の衣装や背景などまるで一つの舞台をつくるくらい大変だったと思うが、持ち前のパワーでやり切った。

教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健