夜の波音

北川 はるか

作者によるコメント

卒業制作ということで、夜の海を題材に、絵にしかできないことをしたいと思い持ち、改めて自分が表現したい海について考えて描いた作品です。
海は綺麗な反面、抗えない力強さがあるため、滑らかな水面ではなくスタンドガラスのような少し固さを感じるような表現にしました。
夜の海を題材にしたのは夜の海辺は人気がなく海の音がよく聞こえるので海に集中できるからです。
見た人に海の音が聞こえるような感覚になっていただけたら嬉しいと思います。
4年間、リアルな表現からなかなか抜け出せず悩むことが多かったのですが、最後の最後で自分としては納得のいく作品ができて良かったと思います。
この作品をきっかけにさらに絵を描きたいという思いが強まりました!

担当教員によるコメント

どこかロマン主義の味わいがある作品である。寄せては返す夜の波を真正面から時間をかけて描いているのだがその細部にまで行き届いた作業はそのまま見る者の情報になり現実的な時間を感じることにもなる。
自分の育った場所の海ということもありこの作品を描くにあたって北川さんの個人的な動機や思い入れが大きく作用している事は間違いないところではあろう。しかし出来あがったこの作品は人の心持ちとかいったところをはるかに超えて海が許容する大きさや怖さが見えて来るようである。
今後北川さんがどのように自然と対峙して行くのか。そしてこうした徹底した視点でどのような作品を作るのか非常に興味を持っている。

教授・加藤 良造

  • 作品名
    夜の波音
  • 作家名
    北川 はるか
  • 作品情報
    技法・素材:岩絵具、水干、墨、高知麻紙
    サイズ:H1620×W2273mm
  • 学科・専攻・コース