不安と暑さ, スクランブル
豊田 悦子
担当教員によるコメント
グリッドを紡ぐ、日々それを繰り返す。しかしそれは前もって完成像があり、それに近づくための作業としての行為ではない。描く瞬間ごとに変化する画面と自らをいかに対峙させるべきか、その判断をグリッド毎に重ね続ける。その対象は全体でもあり、隣り合った限られた部分でもあるだろう。しかし途方もない愚直なその繰り返しは、そこに身体があるからこそ可能であった表現行為である。作品の前に立つと、一瞬目眩のような捉えどころのない感覚に陥らされる。それはトリッキーな視覚の操作なのではなく、この抑圧された状況の中、作者の真摯な絵画行為によって生まれたゆらぎの記録でもある。そして鑑賞者もフィジカルに作品と向き合うことで、絵画体験を共有する大切さを強く感じさせてくれた。
教授・小泉 俊己
- 作品名不安と暑さ, スクランブル
- 作家名豊田 悦子
- 作品情報『不安と暑さ』
素材・技法:キャンバス布、油彩
サイズ:H158×W159cm
『スクランブル』
素材・技法:キャンバス布、油彩
サイズ:H267×W280cm - 学科・専攻・コース
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