卒業制作優秀作品集2021
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻

遊馬 理香子

架空の世界の旅をする

技法・素材:造形①(懐中時計、壁掛け時計)=厚紙、ラッカー塗料/造形②(胸装飾)=発泡ポリエチレン、ラッカー塗料/イラスト=万年筆、Illustrator/文章
作品形態:造形物、過程から完成までのイラストや文章、映像
サイズ:懐中時計=H33×W95×D95mm/壁掛け時計=H13×W200×D200mm/胸装飾=H270×W330×D190mm/イラスト=各H100×W100mm程度

動画を再生する

キャラクターやストーリーには、バックグラウンドがついてくる。コスプレ向けの造形制作を手伝う中で、「現実に無いもの」に興味を持った。多くの人は架空のキャラクター、人に焦点を当てるが、私が惹かれたのは人ではなく、人の生きてきた歴史、環境、世界。人間のバックグラウンドにあるものだった。卒業制作では、1から架空の世界を作り、その世界で使われる物を造形していった。8つの月が昇る氷の島「ずっと夜のまち」では、太陽が昇らない世界の環境から室内の文化まで、そして月を指標にした1周24時間の「月の時計」を造形。鉱物の採れる塩湖の砂漠「宝石のまち」では、太古の海中環境から化石・宝石ができるまでの過程、大陸化した後の歴史を考え、鉱石の模様を使った「波模様の装飾」を造形した。

担当教員によるコメント

プロダクトデザインでは、モノだけでなく、それを使う人や社会、環境との関係も考えデザインしなければならない。そこでは、現実を観ることが求められる。しかし「架空の世界」を対象にデザインする場合は、その世界の環境、社会、人々の考え方に至るまで、矛盾のない設定が必要だ。そうでなければ、人はその世界に感情移入できなくなる。遊馬さんが創造した「ずっと夜のまち」と「宝石のまち」は、宇宙のどこかに存在する「まち」や、人々の暮らし、道具が、天文学や宇宙物理学などの知見をもとにデザインされており説得力がある。また、私たちが何の不思議も感じていない地球の日常が、実は広大な宇宙の摂理に基づいた奇跡的結果であることを再認識できることも当研究の価値と言えよう。

教授・安次富 隆

  • prev
  • next
  • 小野木 貴康
  • 梶田 岳
  • 関口 楽々
  • 徳増 望実
  • 伊藤 綾香
  • 松本 拓馬
  • 遊馬 理香子
  • 安田 彩美
  • 井出 大智
  • 櫻井 竜也
  • 溝口 稜大
  • 森田 留奈

学科TOPへ