日常ⅳ

小牧 若葉

作者によるコメント

作品のテーマについて記載しようかとも思ったのですが悩んだ結果やはり載せないでおこうと思いました。
もちろん自分の中でこの作品のテーマやそのテーマで描こうと思い至った背景などは存在します。しかしそのテーマで見た人の中で生まれかけた解釈や物語をあまり否定したりという思いがあります。また私自身様々な見方を持つ作品というものに心惹かれるということもあって、私の手を離れ様々な人の目に触れた時、様々な物語や意味が生まれていけばおもしろいと考えています。
故に作品名もあえて日常というシンプルなものにさせてもらいました。何にとってのあるいは誰にとっての日常なのか、そういったことを自由に考えたり感じていただければと思っています。

担当教員によるコメント

コロナ禍は、我々の生活を一変させ、これまでの日常を考えさせる契機を与えた。2020年は小牧にとっても、日常とはなにかを考えさせる長い1年間になったことは想像に難くない。その答えとして5点組で制作された《日常》シリーズは、どの作品も水彩画のように表現され、透き通るような美しさがある。その世界には静かに、そしてどっしりした樹木が描かれている。急激にひとけのなくなった世界に、唐突に存在する樹木。樹木が置かれた場所は、バスタブや電車の中などである。みればみるほどに深く考えさせられる面白さとユーモアがある。彼女の作品は自身の興味に向かって制作されたものだが、誰にも当てはまる、そして誰の物語にもなり得る。彼女の比喩的な表現には、今の社会に向けてのメッセージ性を感じさせるものがある。

准教授・大矢 雅章

  • 作品名
    日常ⅳ
  • 作家名
    小牧 若葉
  • 作品情報
    技法・素材:エッチング、アクアチント
    サイズ:H533×W414mm
  • 学科・専攻・コース