lie on top i

坂井 新奈

作者によるコメント

コラージュを下絵とし、シルクスクリーンで制作しました。コラージュをシルクスクリーンに起こすことで生まれる貼り合わせた紙としての物質感を伴ったコラージュを、版に置き換え、印刷し、再構築することで、コラージュ自体のイメージとは異なる新たなイメージを表現しました。

担当教員によるコメント

坂井の作品はコラージュから始まる。手でちぎられた四角い紙片は、大小に並べられることで作品の右上から左下への遠近の流れを生み出す一方で、その色調は暗いものが手前に、明るいものが奥にと遠近に沿っていなかったり、横に細長い紙片が集められることで遠近とは別の、水平のベクトルが生じたりするため、その右上からの遠近の流れは捻じれてしまう。さらにインクジェットプリントやシルクスクリーン版画を通じて、写真イメージ、物質的な色面、紙の断片性、手の痕跡などがそれぞれの面を構成し、その捻じれに中に織り込まれていく。作品は、多彩なレイヤー面が交錯する絵画空間として立ち上がってくるのである。これこそが坂井作品の魅力であり、日常の遠近に縛られている私たちの認識に解放感をもたらす所以となるのである。

教授・大島 成己