卒業制作優秀作品集2021
彫刻学科

水上 雪乃

drawing

技法・素材:ミクストメディア(石膏、モルタル、発泡ウレタン、針金、段ボール等)
サイズ:可変

私にとってドローイングは、ものづくりの始まりで、頭の整理で、軸や核のようなものを探し求めていく行為です。軽やかに自由に変化を続け、その過程でできた痕跡がかたちとなり現れる。私はそこに面白さを感じ、ドローイングそのものをテーマとした作品を作りたい、またその純粋さを紙の中だけでなく現実空間に存在させ、直接肌で感じることのできる作品が作れたらと思い『drawing』を制作しました。石膏やモルタル、発泡ウレタンなど、比較的身近で入手しやすい素材を選んだのは、「なにも日常とつくることはそう違わない」と自戒するためでもあります。

担当教員によるコメント

『drawing』と題された本作はその制作過程の後半まで、背後に作者による大きなドローイングが貼られていた。本作はそのドローイングを三次元化したインスタレーション作品である。作品生成の多くは、構想からリニア構造の時間軸に沿い完成へと進む。もちろんその過程により作品強度を増すことが目的であるわけだが、初源的衝動が抜け落ち、作品が形骸化することも少なくない。特に技巧的束縛や制作工程の複雑さが多い彫刻分野において、 “今ここで”を保持することは大事な留意点である。作者はだからこそ構想の最初に描いたドローイングを意識し、石膏やモルタル、発泡ウレタン、ダンボールなど身近な素材を用い、初源性や日常性、可塑性の内包化を試みた。結果、作者固有のスピード感や景観が抽出され、心地よく風が通る空間となった。

教授・笠原 恵実子

  • prev
  • next
  • CHOI Saewon
  • 佟 昊霖
  • 三木 早百合
  • 辰巳 翔
  • 小澤 徳崇
  • 國田 剛紀
  • 田中 晶
  • 岸本 晃侑
  • 水上 雪乃
  • 森田 道尚
  • 高柳 有里
  • 高木 奎輔

学科TOPへ