survival kit

JEONG Jae Woung

作者によるコメント

世の中には生存のため多様な擬態をしている生物が多くいる。その内容は、個体によってそれぞれ異なるが、生物が持っている自分の身を守るための本能でもあろう。私は、身近な犬の散歩や、遭難の際などに、身を守るデザインを作りたいと考えた。あるときは相手に警告を与えて自分の身を守り、又あるときは自分の存在を知らせて相手に救助を求めたりする効果をデザインしたいと思った。生命に対して密接に関係するこの擬態を社会にも反映して、より安全な社会づくりをしたいと思いデザインした。

担当教員によるコメント

何気ない日常の幸せと隣り合うように存在する災害。危機管理能力が問われる現代社会の問題を、テキスタイルの力で解決する提案として秀逸な作品です。テキスタイルデザインに何ができるのだろうかと、人とテキスタイルの関係を丁寧に考察し、プロダクトデザインにまで仕上げたことで説得力に繋がりました。自衛のための色鮮やかな擬態は、人の目には美しい文様として映ります。美しい文様は日常を彩るものでもあります。日常と災害という両極端な状況にも関わらず、どちらの状況にも必要な機能の提案がされており、この作品を前にして日常で遭遇する災いから身を守るデザインには、テキスタイルという表現手段が最適であると言わざるを得ません。

講師・辛島 綾