TAMABI NEWS 100号(学科を超えた授業)|多摩美術大学
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17 外資系コンサルティング企業のアクセンチュアでサービスデザイナーを務めています。私はお客様である企業の課題や想いを起点にユーザーのリサーチを行い、「本当に求められていることは何か?」を導き出します。その上で、サービスのコンセプトを設計・提案し、実現まで携わることで新たな価値を創り出しています。 多摩美在学中に地域と連携した活動の面白さを実感し、文京区役所で建築職として働くことを決めました。現在は、学校や公園など区が所有する公共施設の補修や耐震工事に携わっています。具体的な作業は工務店や設計事務所などに発注するので、自ら建築業務を手がける機会はありません。しかし、デザインや建築を学ん会社のパーパスは、テクノロジーと人間の創意工夫で、まだ見ぬ未来を実現すること。お客様とともに、あるべき未来やサービスのあり方を描き追い求める活動は、やりがいや社会へのインパクトを感じられます。 この仕事を選んだ背景は、建築・環境デザイン学科での学びにあります。まず敷地を訪れ、そこに住む人々にヒアリングを行う。その後、「あるべき未来像」を構想、可視化、プレゼンして伝える……というプロセスでした。この一連の流れの体験は、現在の仕事に活かされています。 私はもともと、形のある空間デザインへの道を考えていました。しかし、多様な方々との対話を通じて「体験そのものをデザインする仕事」の存在を知り、「こんな仕事があるなんて!」と衝撃を受け進路を決めました。自分のやりたいことを人できた立場から意見を出せる点が自分の強みになっていると感じています。 仕事をする中で大切にしているのは、施設を利用する人々のことを考えながら開発や補修の計画を進めることです。例えば学校の工事に関わる際、どうすれば子どもたちが自由に学んだり遊んだりできる空間を作ることができるのか。さまざまな関係者にヒアリングした内容を計画に落とし込んでいきます。その過程において、先生たちの教育に対する考えや子どもたちを大切に思う気持ちが伝わってきたときにやりがいを感じます。 美大を卒業して公務員になる人の数は決して多くありません。しかし、そんな環境でも自分なりに努力を続けている中で、上司から「渡邉さんは最後までやり抜く力がある」と言ってもらったことがありました。利用者にとって居心地のいい空間を実現するため、建築の色や素材まで細か司会進行を務めたのは、建築・環境デザイン学科の田嶋豊准教授に話すことで、進みたい世界が拓けてきます。漠然としていた考えを言葉にすることで、本当に大切にしたいことに気づくこともあります。また、そこから新たな出会いや情報に次々とつながっていき、よりワクワクできる世界へと近づいていくはずです。進路に悩んでいる方は、ぜひ、まずは信頼できる人から、自分のやりたいことを話してみてください。くチェックする。そんな私のこだわりを評価してくれたのだと思います。建築デザインを学んできた経験が仕事に活きていると感じた瞬間でした。 美大生は作品のプレゼンで自分の気持ちを伝えることに慣れていると思いますが、就職活動や仕事においても「伝え方」は非常に重要です。相手のことを考えつつ、自分の伝えたいことを正確に言語化するための技術を身につけておいてほしいと思います。アクセンチュア株式会社 ソング本部文京区役所 施設管理部 保全技術課生活者視点のリサーチをもとに新たな価値を届けるデザイン地域連携活動をきっかけに公共施設の開発や補修を計画アクセンチュア「やりたいことを突き詰めたらサービスデザインだった」文京区役所「伝える力はあらゆる場面で求められるはず」川島里沙さん渡邉沙未さん

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